「燃やせるごみ」を「分別頑張ったんやけど、燃やすしかないごみ」に変更します――。
5月15日に徳島市が発表したごみの名称変更が、SNSで大きな話題を集めています。
Twitterでは4万8000いいね、1万5000リツイートを集め、「何があったの?」「エイプリルフールかと思った」と戸惑う声に加え、「こういうの嫌いじゃない」「結構好き(笑)」「長すぎてわかりにくい」など賛否両論に。
「分別頑張ったんやけど、燃やすしかないごみ」、一見ジョークのようなこの言葉が公式に採用されるとは……。一体なぜこんな名前になったのでしょうか?
「あえてキャッチーな名称に」
「名称変更の狙いは『燃やせるごみ』のなかに含まれる、資源として再利用できる紙ごみを意識してもらうことです」
徳島市役所の環境政策課の担当者は、BuzzFeedの取材にこう話します。
同市がまとめた2021年度のごみ組成分析を見ると、「燃やせるごみ」のうち、紙類は36.71%を占め、生ゴミ(ちゅう芥類)の31.62%を上回っています。
「この紙類のなかには、本来であれば資源としてリサイクルできるものがたくさん含まれているのですが、一度汚れてしまうと資源として回収はできません」
「ごみ箱にいれる前に一瞬だけ、『これも分別できるんだっけ?』と思い出してほしい……そんな思いを込めて、まずは人々の意識にのぼってもらうことを目指してキャッチーな名称をあえて起用しました」
お菓子の箱も分ければ資源に
徳島市では、紙袋や包装紙、封筒・はがき、カレンダーやチラシなど、身近な紙類の多くを「雑がみ」として資源回収できます。
汚れてしまったティッシュペーパーなど一部の紙類は引き続き「燃やすしかないごみ」にあたりますが、きちんと分別すればかなり少なくできそうです。
「頑張ったんやけど」と親しみを
徳島市は、これまでもさまざまな手段で紙ごみの分別やリサイクルを呼びかけてきましたが、なかなか周知が進まない課題を感じていたそうです。
「ごみ箱に入れられてからだと(紙が汚れてしまって)再資源化はできないので、捨てる前に気に留めてもらうことが大事なんですが……。みなさん正直知らないんだろうな、というのが現実でした」
今回の名称変更は、担当者によるアイデア。2020年に福岡県柳川市が「燃やすごみ」を「燃やすしかないごみ」に変更したなど、他の自治体による先行事例も参考にしながら文言を考えたと言います。
「分別頑張ったんやけど」と、地元の人には馴染み深い話し言葉も取り入れ、親しみがわきつつ、ツッコミを誘う言い方に決めました。
思惑通りネットで話題になり、多くの人に届いたことに大きな手応えがあったと言います。
「徳島市在住の方だけでなく、市外・県外の方からも反響が大きく驚きました。全国に影響を与えられたかもしれないですね(笑)」
「ごみの分別はどの地域にも共通の課題だと思うので、今日から意識してもらえたらうれしいです」
普段何気なく捨てている紙ごみ、実は分別対象かもしれません。みなさんもお住まいの自治体のWebサイトをチェックしてみてくださいね!