水銀を利用した「体温計・血圧計」が、実はすでに製造も輸入も禁止されているってご存じでしたか?

家にあるものに関しては、そのまま使う分には問題なし! ですが、捨てる際には注意が必要です。

PhotoACより「水銀を使った体温計」 / Via photo-ac.com

昔から体温や血圧を測るときに重宝されてきた、水銀を使った計器類。

SNSでは、「水銀体温計の“戻し方”知らない人が入社してきた」と投稿した人が話題になっており、「今はもう見たことない人もいるよね」「こう……振るんだよ!」などと話題になっていました。

そんな計器類をはじめとする「特定水銀使用製品」は、2013年10月に採択された「水俣条約」によって、環境汚染の観点から規制することが決定。

2015年中には「水銀による環境の汚染の防止に関する法律(水銀汚染防止法)」が成立し、 詳細に禁止される日付なども 定められ、体温計・血圧計は 2020年12月31日をもって禁止 されています。

使用はこの先もOK! しかし捨てる際は要注意

では、家庭で今も使っている・眠っている体温計に関してはどうすればよいのでしょうか?

すでに自宅にあるものに関しては、廃棄する必要はなく、そのまま家庭で使用を続けることが可能です。

しかし、破損したまま放置しておくなどすると、中の水銀が気化し、有害化する恐れがあるため、 京都市 などの自治体は使用していない水銀製品があった場合は破棄することを推奨し、回収の協力を呼びかけています。

また、水銀製品は捨てる際にも注意が必要です。

ごみの焼却施設では、排ガスなどで水銀の濃度を計測しており、濃度が法規制値を超えた場合は運転を停止するなど対応が必要。たびたび誤った廃棄方法が原因で稼働停止を余儀なくされたことが報道されています。

例えば2024年3月26日には、東京都杉並清掃工場の 焼却炉1基が停止 。

さらに、2010年6月11日には、東京都足立2号炉で 大量の水銀濃度 を検知、気化した水銀が付着したフィルター交換などを余儀なくされ、9月3日までの約3カ月停止し、復旧費用は約2億8000万円にのぼったと発表されています。

このように間違えた方法で処分してしまうと、ごみ処理に影響が出るため、自治体が処分の方法を厳しく定め、公開しています。

例えば、東京都目黒区では、月に1回水銀使用製品の回収日を設け「中が見える袋に入れ、『水銀体温計』などと表記してお出しください」と定めています。

目黒区「水銀を含む製品の出し方」サイトより / Via city.meguro.tokyo.jp

今一度、住んでいる場所の捨て方を確認し、使っていない水銀製品の処分を検討してみてはいかがでしょうか?