米ニューメキシコ州アルバカーキで、2歳の男児が薬物の過剰摂取で病院に搬送された。地元当局は6月5日、母親とその娘を児童虐待の容疑で逮捕・起訴した。



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事件が起きたのはおよそ3カ月前。男児がホテルからニューメキシコ大学病院に搬送されたとき、意識がなく、心肺も停止していた。



母と娘は薬物検査をするよう命じられていたが、病院から姿を消したという。



蘇生後、一家が滞在していたホテルの部屋を当局が捜査したところ、青い錠剤と道具を発見。男児の体からはフェンタニルの陽性反応が出た。



また、娘から母親に宛て、男児が薬物を持っているという内容のメッセージが送られていたことも確認されている。



フェンタニル関連事件が増加中

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米国税関・国境警備局で押収されたフェンタニルなどの違法薬物や武器の写真。2023年2月28日撮影。

フェンタニルは、アメリカで医療用の鎮痛薬、麻酔として承認されているが、近年はメキシコの麻薬カルテルなどが危険量のフェンタニルを含む薬物を違法に製造し、特に若者の間で広がりつつあると問題になっている。



アメリカ疾病予防管理センター(CDC)の報告によると、フェンタニルが関わる過剰摂取による10代の月間死亡者数は、2019年から2021年の同時期(7月〜12月)で182%増加したという。



2019年7月から2021年12月までの2年半で、2200人以上の10代の若者が致命的な過剰摂取に陥り、フェンタニルが関与していた件数は全体の84%にのぼる。



メキシコに近いニューメキシコ州では、フェンタニルの過剰摂取による事件が増加している。特にアルバカーキでは、子どもの過剰摂取が相次いでいる。



フェンタニルの過剰摂取で2週間のうちに2歳女児が死亡、別の女児が搬送

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男児の事件に先立つ5月19日、薬物の過剰摂取で女児(2)が死亡した。同室で複数の大人がコカインとフェンタニルを吸っていたと報じられており、母親が児童虐待の罪で起訴された。



母親には2001年から薬物関連の犯罪歴が複数あり、違法薬物を密売した罪で過去に数年服役している。



事件当時も母親はコカインを売っており、「家にいる全員」が薬物を摂取していたものの「娘には与えていない」と供述した。しかし「誰かが渡した可能性もある」と示唆している。



死亡した女児の6歳と8歳の兄は、同州の児童家族局(CYFD)に保護された。



さらに5月28日、警察が通報を受けて駆けつけた住宅で「瞳孔が狭まり呼吸が遅くなっている」女児(2)を発見。この子もフェンタニルの過剰摂取と診断された。



前述の事件と同様、住宅から青い錠剤が見つかった。両親は児童虐待の罪に問われている。