東京都千代田区にオープンした「保護猫ホーム・老猫ホーム神保町」は、地域の事情に応じて"保護猫シェルター"兼"老猫ホーム&ホスピス"というスタイルを取っています。一体どのような場所なのか、お話を伺いました。
*記事内容はすべて、2023年12月10日現在のものです。

地域と交流する拠点を持つことの大切さ

「ちよだニャンとなる会」が運営する「保護猫ホーム・老猫ホーム神田神保町」は、傷病猫や高齢猫が余生を過ごせる場所。ホームで暮らす高齢のステラちゃんは、約15年間、地域猫として暮らしていました。これまではビジネスホテルのスタッフがお世話していたそうですが、コロナ禍でその方が仕事から離れることになり、ちよだニャンとなる会へ保護依頼が入りました。

「点滴といったストレスのかかる治療はできるだけ減らして、朝晩の投薬と月1回の通院のほかは穏やかに過ごしてもらっています。じつは、ステラもかつて私たちがTNR(※)した猫。当時は保護施設を持っていなかったため、心の中で『ごめんね』と謝りながら多くの猫を街へリリースしましたが、今は責任を持って最後まで見守れるようになって本当に嬉しいです」と代表理事の古川尚美さん。

※TRAP(捕まえる)、NEUTER(不妊手術する)、RETURN(元の場所に戻す)の頭文字をとった用語。繁殖させず、地域猫としてともに暮らすための活動です。

ステラちゃんを見守っているのはホームのスタッフだけではなく、ここに通ってくるお客さんも同じ気持ちかもしれません。お客さんは譲渡希望の方に限らず、ふらりと立ち寄る近所の方も多いとか。

「入館無料にしているため、近隣にお勤めの方、学校帰りの小学生など、いろんな方がいらっしゃいます。皆さんの癒しの場になっているようです。また、私たちの活動にとってもこのホームがあるメリットは大きく、地域猫の課題や傷病・高齢猫の現状を伝える発信拠点を持つことができました」

活動を続けていく上で"発信力"を味方に

古川さんに「今、発信したいこと」を1つ挙げてもらえば、"おとなの猫への理解促進"だといいます。地域で行き場を失った猫を保護している「ちよだニャンとなる会」。ゆえに保護するのは成猫ばかりで、譲渡先を探すのは簡単ではないそうです。

「欧米ではおとなの猫から先に引き取り手が決まっていきますが、日本にはかわいいものを愛でる文化があり、子猫を希望する人が大多数。でも、少し価値観を変え、おとなの猫の魅力を知ってほしいです」

また、このホームではこれからイベントも行っていきたいと話します。過去、ちよだニャンとなる会では、猫と暮らすのが難しいシニア世代が猫と触れ合えるお茶会を開いたり、子供が猫カフェの店長さんを体験できる日を設けたり、イベントを通じて"保護猫"を広く発信してきたそう。さらには、区と組んで「ちよだ猫まつり」も開催しています。(2016年よりスタートし、2日間で1万5千人も来場する大きなチャリティーイベントです。)

「より多くの方に"保護猫について話す機会"を提供したい。そして、もっと猫にやさしい社会に近付くといいですよね」と古川さんは話します。

お話しをお伺いした人/ちよだニャンとなる会 古川尚美さん
出典/「ねこのきもち」2024年2月号『ねこのために何ができるのだろうか』
撮影/後藤さくら 
取材/野中ゆみ

※この記事で使用している画像は2024年2月号『ねこのために何ができるのだろうか』に掲載しているものです。