猫のケンカは意外と激しいもの。取っ組み合いをしたままあちこちでゴロゴロと転がったりして、見ている人間からすると微笑ましい光景のようにも思えますが、猫は運動神経が抜群で動きもすばしっこい動物。ケンカの最中には色んなアクションをしているけれど、時間にしてみると一瞬の出来事です。

そんな猫の喧嘩のワンシーンを捉えた写真が、「8000分の1秒の世界」というコメントと共にTwitterに投稿されています。

8000分の1秒というのはカメラのシャッタースピードのことで、一般的にシャッタースピードが速ければ速いほど、動いているものを鮮明に捉えることが可能。写真はその高速シャッターを使って猫がケンカをしている様子を撮影したもので、飛びついた茶白猫も飛びつかれたキジ白猫も、空中にふわっと浮き上がっている瞬間が捉えられています。

舞い散る砂埃の粒まで見える取っ組み合いは躍動感たっぷりで、猫ちゃんの表情もかなり険しい本気モード。通常猫のケンカは速すぎて、人間の目にここまではっきり見えることはありませんが、あの戦いの最中にはこのような瞬間が潜んでいるのだと思うと、猫のことをもっと知れたような気がして親近感が増していくように感じられます。

この写真を撮影したのは、福岡を拠点に活動しているネコ写真家の森永健一さん。撮影場所は福岡県のとある小さな島なのだそうですが、一体どうやってこのような決定的瞬間を撮ったのでしょうか。

森永さん本人に聞いてみたところ、猫を撮影していてケンカが始まりそうな雰囲気が漂っている時は、何かが起こるかもしれないため、ずっとカメラを構えてシャッターチャンスを待つのが定石。と言っても猫の動きは速すぎて人間の目では追いきれないため、思い描いた通りのシーンを撮るというよりも、偶然による奇跡の瞬間を狙って撮影しているのだとか。一朝一夕で撮れるものではなく、猫同士の空気を読む力や忍耐力が問われそうですね。

しかし、街を歩いていて猫ちゃんを見かけたら、思わず撮りたくなってしまうのが猫好きの心情というもの。スマホで外猫を撮影する際のコツについて尋ねてみると「カメラはあくまでも表現の道具です。望遠レンズがついたカメラの方がいいという訳ではありません。そのとき持っている機材の特性を活かすのがいいと思います。スマホの優位性はやはり広角系レンズと手軽さなので、近くからダイナミックな撮影ができることですね。ネコと仲良くなって近距離からネコのかわいさを狙うようにしてみてください。」とのこと。高機能なカメラは持っていなくても、スマホならではの魅力がある写真を撮ることはできそうです。

撮影者の森永さんは、ブライダルカメラマンとして活動する傍ら、20年以上に渡って世界中のネコを撮り続けていて、過去にネコ雑誌や旅雑誌などで「ネコと旅」をテーマにしたフォトエッセイの連載をしていたほか、九州福岡のローカル番組などを中心に猫写真家としてテレビにも出演。昨年にはイギリスの世界的なフォトコンテスト「Comedy Pet Photo Awards(コメディー ペット フォト アワーズ)2022」で、日本人初となる最優秀賞・猫部門賞・高評価部門賞の全三冠を受賞をしています。

そんな森永さんは、6月23日から宮崎県のショッピングセンターで写真展「ねこがすき展」を開催。「かわいすぎて、おもしろすぎて、ねこがもっと好きになる写真展」をコンセプトにした展示会で、会場には日常に潜む猫の何気ない表情や見逃しがちな瞬間、愛くるしい表情などを捉えた作品が100点ほど展示される予定となっています。

<イベント概要>
名称:ねこがすき展
期間:2023年6月23日(金)〜7月9日(日)
時間:10:00〜18:00
入場:無料
会場:イオンモール宮崎2F イオンホール
住所:宮崎県宮崎市新別府町江口862-1