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日本テレビ系で放送中の朝の情報番組「スッキリ」。番組内の企画「お受験密着シリーズ」の第三弾(2020年11月から2021年4月)に登場したのが、お笑い芸人・ノッチさんの長女・叶望(かなみ)ちゃんでした。

わが子の受験を終えたノッチ夫婦に、当時の思いや今の生活について伺います。

「公立中学があるのにわざわざ受験する必要はないのでは」と思っていたノッチさんが、全力で叶望ちゃんを応援するようになったのには、ある心境の変化がありました。

陸上選手生命を断たれ、お笑い芸人となった父親が、娘に伝えたかった思いとは。

あれ、受験って意外とポジティブ!?

—— 最初は中学受験をまったく意識されていなかったそうですね。

ノッチさん:

そもそも公立中学が近くにあるのに、なんでわざわざ受験するの?と思っていましたね。公立中学校でいいじゃんって。本当にそう思っていました。

友美さん:

私も5年生になる前の春休みに”受験したい”と言われるまでは何も。通塾開始は、4年生になる前の春休みからと言われていますが、見て見ぬふりをしていたくらいです(笑)。

—— 予定していなかった中学受験、なぜ決断にいたったのでしょうか。

友美さん:

本人の熱意ですね。将来”化粧品開発の研究員”になりたいというしっかりとした目標を持っていたので。まずは、受験した先輩ママたちに様子を聞く、情報収集から始めました。

ノッチさん:

周囲から「たとえ落ちたとしても、やらないよりやったほうが子どもの経験値としてプラスになる」というアドバイスをいただいて。

習い事の先生からも「視野が広がる」と。経験値プラスな上に視野が広がるって、良いじゃん良いじゃん中学受験!って(笑)影響されやすいので僕。

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—— ネガティブなイメージを抱く前に周囲からポジティブな情報を多く聞けたんですね

友美さん:

そうなんです。大変というイメージだけが先行していたけど、周囲に聞いてみたらポジティブな情報の方が多かった。やっぱり経験してみないとわからないんだなと思って。それなら行動してみようと動き出した感じです。

実業団に落ちて見えた現実

—— 中学受験子どもの将来について考える機会になりますよね。

ノッチさん:

そうなんです!

中学受験は、娘に僕の進路選択や職業選択、社会について話すきっかけになりました。

僕は小学生から公立中学の陸上部の練習に参加し、中学3年間は陸上競技で結果を出し、推薦で全寮制の高校に入ったんです。実業団にさえ入れればいい会社に就職できる、いい人生が送れると信じて、一生懸命やっていました。

でも結局、実業団には落ちちゃって。マラソンができなくてもスポーツに関わる仕事につきたい、そう思っても当時の僕には実業団に入る以外の進路が全く思いつかなかった。マラソンだけじゃなく勉強もしておけば選択肢はもっとあったはずだと後悔しましたね。

実際、陸上と並行して勉強していた友人は、整体師やスポーツトレーナーなどの道に進んでいったんです。「陸上」で輝いていた自分が、社会に必要とされていない、でも友人は社会に居場所を見つけている。そんな仲間を見て、より悔しかったのを覚えています。

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—— 子どもは純粋だからこそ、目の前のことに一生懸命で視野が狭くなりますね。

ノッチさん:

ええ。だからこそ保護者は、子どもにそれを伝える必要があると思いました。

叶望ちゃんには、10歳の子どもだろうが関係なく、僕の後悔や社会の厳しさについて本当にリアルに話しました。

友美さん:

お父さんは、陸上推薦で高校まで行って、マラソンで新聞にも載っちゃうようなすごい人だったんです。

でも、そのときに勉強も一緒に頑張って大学まで行っていたらもっと違う人生だったのかもしれないよね、と叶望ちゃんと一緒に話しました。

ノッチさん:

そうしたら、叶望ちゃんから「そうだね!勉強はしておいた方が良いね!お父さん、選択肢ゼロはきついね!」って言われました(笑)。

化粧品開発の研究員にならなくてもいい

—— 結果が伴わなかったとしても、中学受験をして良かったと思いますか?

友美さん:

実は私、高校受験がすごく怖かったんです。人生で初めての受験だったから、過度に緊張してしまったんですね。

中学受験をした子たちは、小学生にしてその緊張感を知っている、これってすごいアドバンテージだなと思います。

それに受験をやりきった事、そのこと自体が子どもの自信につながったとも感じました。たとえ第一志望に受からなくても、勉強したことが身についているのは間違いないですしね。

ノッチさん:

化粧品開発の研究員になりたいという夢もいろいろな経験を積む中で変わっても良いと思っています。もし、学校が合わないと感じたら、高校は別のところでもいい。

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友美さん:

そう。せっかくご縁のあった中高一貫校なのでもちろん続けて高校まで進んでも構わないですが、そこがゴールではないので、そのときどきの本人の希望を聞きながら考えたいと思っています。

ちなみに私は今、いろんな大学の就職実績を見ています(笑)。保護者が大学のこと、社会の状況を分かっていれば、子どもの成長に合わせて道を示してあげられますから。

ノッチさん:

子どもだけではなく、親の経験値が上がったという意味でもやはり中学受験はして良かったですね。

PROFILE

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ノッチ(本名:佐藤望 さとう・のぞむ)

1965年、愛媛県生まれ。1988年に安田和博とお笑いコンビ“デンジャラス”を結成。「タモリのボキャブラ天国」などに出演。オバマ米大統領のモノマネでブレークする。趣味は、釣りや乗馬など多岐に渡り、日本一過酷と言われる佐渡国際トライアスロンAタイプ完走の記録も保持している。

佐藤友美(さとう・ともみ)

2006年、ノッチさんと結婚。2008年に長女・叶望ちゃん、2013年に次女・友美ちゃんを出産し2児の母に。独身時代には、アパレル業界で人材開発の仕事に従事。当時の経験を生かし、現在は家族の総監督として夫や子どもたちをプロデュース。時に”鬼嫁”として夫と共にメディアにも出演している。

取材・文/名塚千佳子 撮影/河内 彩