江戸時代の農村指導者・大原幽学ゆかりの旭市長部の水田で、家族連れを対象にした恒例の田植え体験が行われた。市内外から参加した45家族180人は、木々の緑に囲まれた田んぼで泥んこになりながら稲苗を手植えし、大型連休の一日を楽しんだ。

 都市住民との交流や豊かな自然の魅力発信を目的にした「米づくり体験交流」の一環。毎年参加を募り、地元住民でつくる「旭市都市農漁村交流協議会」がイベントを開いている。幽学によって耕地整理され、国指定史跡となっている水田の一角を活用している。

 青空の下、参加者ははだしや靴下姿で慎重に泥に入り、腰をかがめて丁寧に作業。「転んじゃう」「ぬるい」と泥の感触を確かめたり、カエルや虫との遭遇を楽しんだりした。用意されたかすり模様の着物姿で手を動かす子もいて、昔ながらの田植えの雰囲気を体感した。

 両親と参加した市川市の小学4年生、加藤明莉さん(10)は「苗の間隔に気を付けながら植えた。元気に育ってほしい」と声を弾ませた。

 同協議会の花香寛源会長(70)は「子どもたちににぎやかに楽しんでもらえてよかった」と笑顔。今後も同じ参加者を対象に実りの秋までイベントが予定され、田んぼの生き物調査や収穫祭などを行う。