復興願うちぎり絵■あふれる言葉 県内の知的障害者が手がけるアート作品を集めた「アール・ブリュット展石川」が27日、県庁19階の展望ロビーで始まった。絵画や工作など、型にはまらないユニークな魅力を放つ238点がずらりと並ぶ。7月2日まで、入場無料。 (高橋雪花)

 アール・ブリュットとは「生(き)の芸術」を意味するフランス語で、障害者らが自由な感性で創作したアートを指す。展示は知的障害者の親らでつくる「県手をつなぐ育成会」などが毎年共催し、今回は県内の福祉事業所や特別支援学校などに通うのべ836人が参加した。

 七尾市が誇る「青柏祭の曳山(ひきやま)行事」をテーマとしたちぎり絵は、地元住民による共同作品。巨大な山車(だし)「でか山」に乗る若衆の生き生きとした表情など、祭りの情景が立体感たっぷりに表現されている。能登半島地震の復興を願い、能登町の巨大イカ像「イカキング」をかたどったちぎり絵も。幅260センチで、悠々と泳ぐような姿が迫力満点だ。

 「あふれでるコトバ」と題した作品は、白い紙が1ミリほどの細かな黒い文字でびっしり埋め尽くされている。目を凝らすと「ウコン」「消石灰」「どんたく」などの単語が読める。作者の大切な人たちの誕生日を、カラフルなペンでずらりと書き込んだ作品もある。

 育成会会員の岡田桂子さん(54)=金沢市=は「『ここに注目するのか』と思わせる、個性的な作品がいっぱいで楽しくなる。全部見てほしい」と話した。