能登半島地震の被災地を支援するチャリティー同人誌「波の花 風吹く」を制作した県内在住の作家3人のトークイベントが29日、金沢市小立野の県立図書館であった。訪れた75人を前に、作品や能登への思いを語った。 (谷口大河)

 3人は企画を発案した紅玉いづきさんと、輪島市出身の上田聡子さん、ライト文芸や漫画原作で活動する編乃肌(あみのはだ)さん。

 同人誌はそれぞれの短編小説とエッセーを収録し、県内に書店を展開する「うつのみや」各店で取り扱っている。1冊1500円で、収益を義援金として県に送る。

 輪島市の夏の風物詩・輪島大祭を題材にした小説を書いた上田さんは「輪島に生まれた人の中に伝統行事や文化が息づいている」と説明。それらを未来につなぐ強い思いを描きたかったという。

 編乃肌さんは「(読者が)気負わずに能登に触れられるように」と九十九湾遊歩道(能登町)や能登塩アイスが登場する自作に込めた願いを明かした。

 紅玉さんは3月に輪島市を訪ねた経験を参考に「読者を傷つけないよう、けれど必要以上に萎縮しないよう、勇気を持って書いた」と振り返った。

 話題は同人誌以外の支援にも及んだ。上田さんは被災地に関するクラウドファンディング(CF)をリスト=「能登支援note」で検索=にまとめ、公開している。

 紅玉さんはCFを見るだけでも、被災者の状況や思いを知ることができると呼びかけ「目を向けること、忘れないこと、心を寄せ続けること。それが支援でありチャリティーであると考えている」と伝えた。