京都三大祭りの一つ「葵祭」で参列者の装飾などに使うフタバアオイを育ててもらおうと、県西部の学校などと栽培に取り組む「葵の会」は2日、磐田市中泉の府八幡宮の協力で境内にフタバアオイの苗100株を植えた。来年までに2〜3倍に株数を増やし、二葉葵(ふたばあおい)を神紋とする京都の上賀茂神社(京都市北区)に増えた株を持っていく。

 上賀茂神社はかつて三つ葉葵を家紋とする徳川将軍家へ旧東海道伝いに「葵使(あおいつかい)」を派遣し葵を献上した。

 4月に磐田市で催された、参勤交代の大名行列を再現する「遠州大名行列」に、初めて同神社の権禰宜(ごんねぎ)を招き、葵使の一行として参列してもらった。その際、家康を祭神とする府八幡宮内の東照宮に、権禰宜がフタバアオイの鉢を献上していた。

 植栽式では、府八幡宮の幡鎌繁宮司による神事の後、東照宮すぐそばにある栽培に適した日陰に土を耕し100株を植えた。

 葵祭では、行列の一行が着用する烏帽子(えぼし)などにフタバアオイの葉を使う。昔は上賀茂神社内に多く自生したが、近年は減少している。

 葵の会の村山卓也さん(31)は「上賀茂神社と府八幡宮の縁が、これをきっかけに末永く続くよう願っている」と話した。

 葵の会によると、来年、持参する予定のフタバアオイは上賀茂神社でさらに1年かけて栽培され、早ければ再来年使われる。 (勝間田秀樹)