南信の地下でモグラ抗争!? 2種分布の東西境目に

南信の地下でモグラ抗争!?  2種分布の東西境目に

 南信地方などを舞台に地下で抗争が繰り広げられている−と言っても、物騒な話ではない。西日本を中心に生息するコウベモグラと東日本に分布するアズマモグラによる縄張り争いだ。「天下分け目の戦」の前線の一つとなっている諏訪地域を、専門家と訪ねた。
 岡谷市のやまびこ公園内。落ち葉に覆われた広場で、黒々とした土の盛り上がったモグラ塚がいくつも見つかった。モグラ塚は、モグラが地中で掘った残土でできている。案内役の都留文科大非常勤講師、西教生さん(36)=富士見町=が塚をスコップで掘りながら言った。「アズマモグラですね」
 この塚はアズマモグラかコウベモグラか−。その違いはトンネルの横幅でわかる。体長一七センチのアズマに対し、コウベは二〇センチと大きい。コウベの穴幅は約五センチ、アズマは四センチほどだ。この日生息が確認されたのはいずれもアズマだが、体格に勝るコウベに対しアズマは負け戦を強いられているそうだ。
 西さんによると、コウベが日本列島で生息するようになった時期は専門家によって諸説あり、数万年前〜約四十万年前。地続きだった大陸から渡ってきたらしい。すでにアズマがすみ着いていたが、コウベが九州方面から北上する形でアズマを追いやり、生息域を広げていったと考えられている。
 現在、両者の境界は本州中部。石川から長野、山梨、静岡県にかけ勢力争いをし、南信地方も最前線のエリアだ。モグラの移動方法はトンネルばかりではない。アスファルト上を歩行し、小川くらいなら泳ぐ。南信地方のコウベは天竜川沿いに勢力を拡大しているとみられ、二〇〇九年の調査では辰野町や諏訪市でも生息が確認されている。
 モグラの寿命は三、四年で、春に子どもを三〜六匹ほど産む。一匹の縄張りの広さは小学校の体育館くらい。成長すると親から縄張りを追い出され、自らの縄張りをつくる。コウベは気が遠くなるほどの世代交代を繰り返しながら、少しずつ生息域を広げていったようだ。「あと二十年もしたら諏訪地域もコウベだらけになるかもしれませんね」と西さんは話す。
 それにしてもコウベが本州中部まで勢力圏を広げるまでに数万年〜四十万年かかったとすると、青森県に達するのはいつごろだろう。西さんは「あと何万年かかるでしょうかね」と笑う。「それでも人間の気付かない土の中で、モグラたちがこんな勢力争いをしてるって面白くないですか」

(福永保典)


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