元玉川高生、2年前に不登校→退学 いじめ疑い、対応遅れ

元玉川高生、2年前に不登校→退学  いじめ疑い、対応遅れ

 県立玉川高校(草津市)で二年前に一年生だった元男子生徒(18)が「いじめを苦に不登校となって、退学した」と訴え、県教委がことし六月末になっていじめの重大事態に認定し、第三者委員会による調査を始めていたことが分かった。元生徒側は「いじめを放置された」として、今後、県教委などに損害賠償を求める考え。学校側の対応について、専門家は「法律に違反している可能性が高い」と問題視している。
 元生徒や母親によると、元生徒は二〇一七年四月に入学後、学級で「集団無視をされたり、ヤンキー扱いをされて集団で避けられた」という。部活動の空手部では、五月以降に部員から「パンを食べた後のゴミ袋をかばんに入れる」「自転車のサドルを下げる」などの嫌がらせを受けたほか、仲間外れにされたり、練習中に足を踏まれて打撲を負ったりしたという。
 入学後の六月ごろから担任らに被害を訴え続けたが、担任からは「自分で何とかしてください」との旨を告げられたという。元生徒は九月中旬から不登校になり、出席数が足りなくなって十一月に退学。その後は他校への入学を模索したが、引きこもり状態となり、ことし六月に「不安障害」の診断を受けた。八月には高校時代の記憶が蘇り、専門学校のオープンキャンパスに参加できなかった。
 元生徒は、幼少期から空手に打ち込んでおり、インターハイ出場を夢に、同校に進学。本紙の取材に「空手を続けられなくなったのは大きく、今は『空手』と聞くだけでもつらい。退学後は(性格が)暗くなり、人を信じられなくなった。事情を知っていた顧問や担任が周りの生徒を注意すれば、退学せずに済んだ」と訴えた。
 母親は、ことし四月に改めて、被害をまとめた書類を県教委などに送付。八月下旬には、謝罪と慰謝料百万円を求めて、誠意がない場合には「法的措置を取る」とする書面も送った。
 母親からの訴えを受けて、県教委は六月末に同校から報告書を提出させ、不登校が続いた事実などから、いじめの疑いがあるとして「重大事態」に認定。七月十六日に弁護士や精神科医ら六人で構成する県立学校いじめ問題調査委員会に、調査を諮問した。調査委は、部活動やクラスでのいじめの事実関係や、学校、県教委の当時の対応などについて調べるため、十月に空手部の元部員や元顧問や校長らに聞き取りをし、元同級生にアンケートを行った。
 母親によると、調査の結果、通信アプリの「LINE」でいじめを受けていた可能性も浮上したという。
 大津市で一一年にいじめを苦に男子生徒=当時(13)=が自殺した問題を受けて、一三年に施行された「いじめ防止対策推進法」などは、被害生徒が「相当の期間」(三十日間が目安)欠席を余儀なくされた疑いがある場合を重大事態とし、調査組織を設けるよう規定。また、文科省のガイドラインは、生徒が退学に追い込まれた場合は「重大事態に該当することが十分に考えられる」としている。
 不登校の一年半以上後に重大事態に認定されたことについて、同省の担当者は「法律の趣旨に照らせば、速やかに重大事態に認定すべきだ」としている。
 県教委幼小中教育課生徒指導・いじめ対策支援室の担当者は、ことし六月末に重大事態に認定した事実を認めた上で、当時の対応や認定の遅れなどに関して「調査委の調査対象なので、現段階でお答えできない」と回答。同校も取材に「第三者委にお預けしており、学校としての見解は申し上げる段階にない」と答えている。
◆学校対応は法律違反も
 <日本女子大の坂田仰教授(教育制度論)> 当時、母親からいじめに類する訴えがあったのであれば、学校側は不登校が30日になる前から県教委に相談をして調査をするべきだった。重大事態の疑いを認めなかったのは、いじめ防止対策推進法などに違反していた可能性が高い。調査の遅れは、生徒らの記憶が失われるなどの点で、真相究明に向けて大きな障壁となったと言える。
 (作山哲平)


スゴ得でもっと読む

スゴ得とは?

関連記事

おすすめ情報

中日新聞プラスの他の記事もみる

あわせて読む

関西の主要なニュース

滋賀 アクセスランキング

ランキングの続きを見る

地域 新着ニュース

新着ニュース一覧へ

総合 アクセスランキング

ランキングの続きを見る

東京 新着ニュース

東京の新着ニュースをもっと見る

東京 コラム・街ネタ

東京のコラム・街ネタをもっと見る

特集

特集一覧を見る 動画一覧を見る

地域選択

記事検索

トップへ戻る