サッカークラブが世界へつながる『ハブ』に…ベルギー1部「シントトロイデン」の前例のない挑戦に多くの日本企業が賛同している理由とは
中日スポーツ6/16(月)10:31

シントトロイデンでも活躍した遠藤(左)と鎌田
◇記者コラム「Free Talking」
サッカーのベルギー1部リーグ、シントトロイデン(STVV)がプレーオフ最終節の土壇場で1部残留を果たした。今季は開幕から低空飛行が続き、シーズン中の監督交代は2度。しかも3人目のブランケン監督が指揮したのはラスト3試合だけだった。大手IT、DMMが経営権を取得して7シーズン目。立石敬之・最高経営責任者(CEO)は「ベルギーに来て一番厳しいシーズンだった」と苦々しく振り返る。
もっとも、ピッチ内で苦戦した一方、ピッチ外では順調だ。
12日に東京都内で開かれたSTVVのシーズン報告会には国内のスポンサー企業141社から約270人が集まった。その数は、クラブ買収直後の約7倍。スポンサー料の多寡はあれど、支援企業の数ではJ1クラブの2倍近くにのぼる。
スポンサーシップをより効果的にするには、Jクラブを支援した方がメリットは大きい。なぜ、日本の企業が約1万キロも離れたベルギーの小さなクラブをあえてスポンサードするのか。
STVVは「ここから、世界へ」―という理念を掲げ、才能豊かな日本選手が欧州へ挑戦する「入り口」として存在意義を確立した。Jリーグから欧州5大リーグに直接渡って活躍するケースが少ない中、冨安健洋(アーセナル)、遠藤航(リバプール)、鎌田大地(クリスタルパレス)、鈴木彩艶(パルマ)らはSTVVから飛躍を遂げ、日本代表の屋台骨を担う選手に成長した。
「欧州に日本を売り込む」という前例のない挑戦。日本代表の強化に結び付くプロジェクトに多くの日本企業が賛同している。
それだけではない。クラブの理念に共感した企業の課題解決や価値向上に貢献しようと、STVVがハブとなり、支援企業同士を結ぶネットワークの場を毎月のように設けている。縦横のつながりが新たなビジネスを生んだり、欧州に進出したい企業を手助けしたりするなど、STVVがスポンサー企業の成長戦略の一端を担っている。
一昨季、ベルギー1、2部クラブで合計約311億円という記録的な赤字を記録した一方、STVVはリーグ3位の約2億8000万円の黒字を達成。ベルギー以外の他クラブからも「どうやっているんだ?」と問い合わせが相次いだという。
経営規模の拡大は選手の移籍金収入に頼ることなく、継続的なチームづくりを可能にする。STVVの野望はリーグ上位のみならず、チャンピオンズリーグ、ヨーロッパリーグ、カンファレンスリーグ出場にも向けられている。(サッカー担当・松岡祐司)











