来夏に延期された東京五輪出場を目指すラグビー7人制男子の日本代表候補、藤田慶和(27)=パナソニック=が果敢に動いている。新型コロナウイルスの感染拡大により行動が制限された今年4月、動画投稿サイトユーチューブに自身の名を冠した「藤田慶和チャンネル」を開設。オンラインを使った対談やトレーニングの紹介、候補合宿再開後はメディア非公開の合宿リポートも積極的に投稿している。現役選手でありながら広報担当顔負けの発信を続ける理由に迫った。

 「今はみなさんに練習の様子を見ていただくことができないんで、『選手は今、こんなことをやってますよ』『こんな選手が頑張ってますよ』ということを伝えたいと思ってるんです。けっこう面白いですよ(笑)」

 藤田が自画自賛したのはユーチューブチャンネルに投稿した7人制日本代表候補合宿のリポートだ。3カ月ぶりに集合した選手たちの表情、トレーニングに悲鳴を上げる選手たちの声が生々しく収められている。合宿はファンにもメディアにも非公開で、オンライン取材が設定されるのは一部の選手のみ。それだけに藤田の発信力は貴重だ。

 「セブンズ(7人制)にはいいキャラクターの選手がそろっているけど、なかなか知られていない。でも、東京五輪になって『この選手、誰?』『7人制って何?』なんて言われたら悲しいですから」

 藤田がユーチューブチャンネルを開設したのは4月、世界中がコロナ禍による“沈黙”に陥った時期だ。

 「その前から準備していたんですが、世の中が暗くなっていたし、『少しでも明るい話題をつくれたらいいなあ』と思って前倒しして始めました」

 自粛期間中は桑水流裕策(リオデジャネイロ五輪代表主将)ら、日本代表の新旧チームメートとオンラインで対談したり、自粛前に撮りためた映像を投稿。移動制限解除後は自身の練習メニュー紹介や、砂浜でのビーチラグビーに飛び入り参加した様子など、ユニークな番組を次々とアップ。その数は5カ月ですでに50本を越えた。

 「ラグビーの楽しさ、ラグビー選手の魅力を発信することは、プロ選手である自分の価値を高めることでもあり、東京五輪の盛り上げにもつながる。『今トライしたのはあのとき面白いこと言ってた選手だね』とか親近感を持ってもらえたらうれしい。延期されたからには、その時間を有効に使いたい」

 昨年の15人制のW杯日本大会に負けない盛り上がりを7人制で。来夏の五輪開催を信じ、そこでの活躍を誓って、藤田はピッチの中でも外でも全力疾走を続ける。

 ▼藤田慶和(ふじた・よしかず) 1993(平成5)年9月8日生まれ、京都市出身の27歳。184センチ、90キロ。7人制ではSH/SO、15人制ではFB/WTB。小3のときアウル洛南ジュニアラグビークラブでラグビーを始める。東福岡高では1年からレギュラーで活躍し、全国高校大会3連覇。高3時に18歳2カ月で7人制、早大1年時に18歳7カ月で15人制の日本代表でそれぞれデビュー(ともに最年少記録)。2015年15人制W杯出場。16年リオデジャネイロ五輪はバックアップメンバー。同年からパナソニックでプレー。