今回のコラムでは、今年メジャーから最も注目されているソフトバンク・千賀滉大投手(28)の復活劇を、と思っていたが、好事魔多しとはこのことか。

 両ふくらはぎのけがから復帰初登板だった4月6日の日本ハム戦(札幌ドーム)。6回裏1死まで、ほぼ完璧な投球を見せていた。直後、強烈なライナーを捕球する際に左足首をひねり、靱帯(じんたい)を損傷。全治2〜3カ月だそうだ。

 千賀が海外FA権を取得するのは早くても来シーズン。ただ、昨年の優勝と日本一への貢献度、また実現には至らなかったものの菅野に対する巨人のポスティング容認などもあり、メジャー移籍への機運が高まっていたところでもあった。早々、メジャー4球団の知人からけがの詳細についての問い合わせがあった。注目度の高さをうかがうことができる。

 トラックマンの球速表示は、この試合では153〜159キロだった。MLBのスカウティングガイダンスにある先発右腕の平均球速は92マイル(147〜8キロ)。MLBスカウトがアマチュアの試合でも使用し、報告書の基準とするスピードガンはトラックマンより2キロ前後遅く表示される。それでもMLB側の平均を大きく上回っていた。

 多種多彩な変化球の質も良く、特にフォークボールは「大魔神」こと、元マリナーズの佐々木主浩さんをもほうふつさせるものである。長丁場を戦っていく上での課題もあるが、全米オールスタークラスの資質を有しているのは間違いない。菅野と並び称される日本のエース。一日も早い回復を願うばかりである。

 DeNAの山崎康晃投手(28)も一昨年来、メジャー挑戦の意思を表明している。こちらは昨年、自粛期間の制約があったにせよ、開幕後の肥大化した容姿を見て、これがメジャーを目指している27歳の若者の体形かとがくぜんとした。

 体重増で球質をより強くとの意図があったのかもしれない。しかし半面、体の切れが鈍り、ピッチトンネル(関連別稿参照)の数値にも表れた。打者目線からすると、以前に比べ球種の見極めがしやすくなっていたのである。本人も自覚していてオフには減量に取り組み、かなり絞られている。これからメジャースカウトの目が向くような快投を期待したい。

 ◆ピッチトンネル 投手と打者の間のある地点に設定する円(トンネル)。複数の球種が通過するその円が、小さいほど同じような軌道から変化していることを示しており、打者の球種判断が難しくなるという概念。近年、大リーグで注目されるようになった。

 ▼大慈彌功(おおじみ・いさお) 元太平洋クラブ(現西武)捕手。ロッテでバレンタイン監督の通訳を務め、1997年からは同監督が指揮を執ったニューヨーク・メッツで日本駐在スカウトに転身。ドジャース、アストロズで渡り歩き、一昨年までフィリーズの環太平洋担当部長を務めた。