◇渋谷真コラム・龍の背に乗って  ◇5日 中日2−4DeNA(バンテリンドームナゴヤ)

 内野手の後ろには仲間がいるが、外野手の後ろにはフェンスしかない。5回。俊足の神里だった上に、先頭だったのが痛かった。左後方に針路を取るべき打球なのに、まず横に動いた。目測を誤ったことに気付いて背走したが、追いつけない。

 フェンス手前に落ちた飛球は、記録上は三塁打だが、左翼・レビーラのミス。痛い2点目につながったプレーを、立浪監督はこう言った。

 「(大野雄は)レビーラの守備で足を引っ張ってしまって申し訳ないことをしたんですが、それも承知の上で使っています」

 僕も同意見だ。普通の外野手なら捕る。だから投手は落胆する。しかし、彼の起用の物差しは打撃であって、守備力を理由にためらってはほしくない。彼の本職は一塁。6月の来日後、2軍でも公式戦では守備につかぬまま、支配下に登録し、1軍に呼んだ。強いスイングと速い打球が今のチームに必要とされたからだ。

 9回、2死二塁で最後の打席が回ってきた。4回バットを振って、ファウルが1球。山崎のツーシームに屈したが、夢は見た。この期待感があるうちは、1軍に置き、使ってほしい。

 「可能性を秘めている。打つ方で必ず力になってくれる。それを信じて使っている。もちろん守備も練習して上達しないといけないんですけど、どこかで守備のミスを(打撃で)返せるようにがんばってもらいたい」

 立浪監督が続けた言葉は、打てばいいんだろという意味ではない。試合中にレビーラは悔し泣きしていたと聞いた。守れずに涙を流す外国人を、僕は見たことはない。この悔しさこそが成長の原動力だ。次は捕れるようにと努力する姿を、仲間は見ている。この日がある意味ではスタートライン。23歳で日本にやってきた若者が、将来、中軸にどっしりと座るために。「最初はフライもまともに捕れなかったんだよな」と笑える日が来ればいい。