今大会は男女を通じて世界のレベルの高さを感じました。その中で、女子の坂本花織選手が大会3連覇を達成しました。

 フリーは「さすが!」としか言えない内容で、演技の4分間がとても短く感じました。パワフルさだけではなく、体の動かし方などにさまざまな成長がみられました。また、ジャンプも高さや流れが万全だっただけではなく、ランディングの伸びがすごくありました。

 ジャンプは跳ぶ直前に「跳びますよ」という感じになって演技の流れが止まり、線が点になりがちです。坂本選手は違いました。しっかりした踏みきりとランディングの伸びがあることで、点ではなく一本の線になっていました。これはなかなかできないこと。経験に加えて、確かな練習を積むことができたからでしょう。やっぱり、練習はうそをつきません。

 男子の鍵山優真選手は「濃厚」といえる内容でした。スケーティングスキルの高い選手ですが、今大会はターンなどをしっかり踏み込んだ上で、氷に吸い付くような、なめらかな滑りでした。カロリーナ・コストナー先生について表現力を磨き、今大会でもしっかり生かされていました。技術面では4回転フリップを新たに組み込むという勇気ある決断を含めて成長を感じました。

 宇野昌磨選手はジャンプのミスがありました。それでも、表現面などでは魅力あふれるスケートでした。今大会ではいろいろなことを感じたと思います。今後についてはゆっくり休んで、熟考してほしいです。

 女子の千葉百音選手、吉田陽菜選手も持ち味を出しました。初出場で感じた課題を成長への糧にしてほしいです。男子の三浦佳生選手は悔しさをバネにできる選手です。今大会の結果をしっかりと受け止めて、来季につなげてほしいです。

(プロフィギュアスケーター、ソチ五輪女子代表)

(写真はAP)