将棋の第9期叡王戦5番勝負第2局が20日、石川県加賀市の「アパリゾート佳水郷」で指され、後手の藤井聡太叡王(21)=竜王・名人・王位・王座・棋王・王将・棋聖との八冠=が挑戦者の伊藤匠七段(21)に87手で敗れ、1勝1敗のタイとなった。第3局は5月2日に名古屋市中区の「名古屋東急ホテル」で指される。

 藤井叡王のタイトル戦敗戦は2023年8月31日の王座戦第1局で永瀬拓矢王座(当時)に敗れて以来233日ぶりでタイトル戦対局連勝は16でストップ。大山康晴十五世名人の持つ最長連勝記録17に一歩及ばなかった。伊藤七段は対藤井公式戦13戦目で初勝利。タイトル戦は昨年度の竜王戦、棋王戦に続く3度目の対決となる両者の公式戦通算成績は1勝11敗1持将棋(引き分け)となった。

 戦型は両者得意な角換わり。藤井叡王が銀を置くことの多い「3三」の地点に金を置く、公式戦では初採用の手を指すと、伊藤七段は1筋の歩を5段目まで突き越す前例があまりない陣形に。昼食休憩後には藤井叡王が飛車を8筋から4筋に展開するなど揺さぶりをかけ、難しい中盤戦が続いた。本棋戦は消費時間がそのまま反映されるチェエスクロック方式の持ち時間4時間で争われ、ともに残り時間が少なくなる中、伊藤七段が藤井叡王の攻めを受けきって、待望の藤井戦初勝利を手にした。

 全八冠を保持している藤井叡王は現在、同じ愛知県出身の豊島将之九段(33)を挑戦者に迎え第1局に勝利した第82期名人戦7番勝負(2日制)も進行中。この日の叡王戦第2局から中2日の23、24日には千葉県成田市の「成田山新勝寺」で名人戦第2局を迎える。さらに中7日の5月2日に叡王戦第3局、それから中5日の同8日に名人戦第3局というハードスケジュールになっている。