◇インタビュー企画「キーマン直撃」

 シーズンの鍵を握る選手のインタビュー企画「キーマン直撃」。今年の第3回は、日本ハムからのトレードで加入した昨季から貴重な左のリリーバーとして活躍している斎藤綱記投手(27)。今季はここまで10試合に登板して、防御率0・00と抜群の安定感を誇る左腕の飛躍の要因や父親としての一面を聞いた。(聞き手・谷大平)

 ―今季はここまで10試合に登板して、防御率0・00。昨季に続いて貴重な左のリリーバーとして貢献している

 「昨年と違ってデータもあると思う。去年できていたことと、去年できていなかったけど今年できていることがちゃんと出ているなという感じです」

 ―去年できていて、今年できていることとは

 「自分の一番の勝負球はスライダー。ただ、相手もある程度軌道は分かっていると思う。今はスライダー一辺倒ではなく、真っすぐでカウントを稼げるようになっている。そこはいいところだと思います」

 ―昨季の直球の平均球速はちょうど140キロ。今季はコンスタントに140キロ中盤を計測している

 「球速が出ていると言ってもプロ野球の平均より全然下。ただ、自分がストレートを投げる上で自信にはなっています」

 ―昨季も6月に中日へ移籍してから31試合で防御率0・73。飛躍の要因は

 「もともと投球のときに胸郭をガッと開いて投げるタイプではなかった。球速を出そうとしても手だけ、上半身だけで投げてしまっていた。それが去年大塚コーチからグラブをはめている右手の使い方、右の肩甲骨からアプローチする方法を教わりました。それで変わりました。オフも可動域を意識しながらウエートトレーニングしてきたのでその成果が出ている」

 ―打者から見たらボールの出どころが分かりづらいフォームと言われる

 「意識しているわけではないです。高校生やプロに入った当初は見づらいフォームにしようと思ったんですけど、考えてやろうとするとフォームが分からなくなっちゃう。そんなに器用ではないので。ただ、胸郭の使い方を意識するようになって自然とそうなっているのかなと思います」

 ―13日の阪神戦(バンテリン)では2点リードの8回に登板した

 「打順の兼ね合いで自分になっただけ。ただ、粋に感じましたし、8回ってこんな感じなんだという思いはありました」

 ―これからどのような活躍をしていきたいか

 「ブルペン陣は誰がどこを投げても遜色ないレベル。その中で自分は投げているボールで言えば一番劣っている。チームが勝っているときに投げられるように結果を残し続けていきたいし、1試合1試合ちゃんと悔いのないように投げたい」

 ―昨年5月には第1子となる長女が誕生

 「今は家で寝かしつけをしてます。もうすぐで1歳。最近はだっこもなしで、おなかに手を当ててトントンしているだけで寝るようになりました。娘に早く会いたいというのもあって、バンテリンドームで試合が終わったらすぐ家に帰るようにしています」

 ―長女が誕生してすぐに中日に移籍。そこから活躍を続けている

 「娘が運勢を持っているのか、娘がいるからストレス緩和になっているのか分からないですけど、いつも良い状態で球場に行けています」

 ―野球に取り組む気持ちに変化は

 「野球がうまくいってないと、笑顔で娘と接する余裕もない。そういう意味でも野球の結果をすごく大事にしています。娘の記憶に残るまで野球ができればうれしいですけど、まずはしっかり養っていけるように頑張りたいです」