◇記者コラム「Free Talking」

 大学野球の春季リーグ戦で、フレッシュな1年生が次々と公式戦デビューしている。ここまで見てきた中での、独断によるイチ推しルーキーは、神奈川大学リーグで4連覇を目指す桐蔭横浜大の4番、梅沢蒼空捕手。打率5割5分6厘でもっかリーグ首位打者。4月末に横浜スタジアムでたまたま見た。169センチ、81キロからのパワフルな打撃にひかれた。

 東京六大学では、昨夏の甲子園Vメンバーの慶大・渡辺憩捕手がリーグ史上初の1年生初打席サヨナラ本塁打で華々しくデビュー。昨年のU18W杯でも活躍した東都大学野球の中大の東恩納蒼投手は、初登板初勝利から連勝、早くも先発の柱になった。梅沢は、これほどの派手さはなく、メディア露出もまだ多くないが、楽しみな選手としては勝るとも劣らない。初4番だった関東学院大戦でいきなり5打数5安打すると、その後も安打を量産。明るいキャラクターは先輩からも愛されている。

 藤沢翔陵高時代に、先輩と一緒に桐蔭横浜大の練習に参加し、斉藤博久監督が”ひと目ぼれ”して入学を誘った。高校時代は、捕手と三塁手で、いまは4番サード。本人いわく「持ち味は強いスイング」で、横浜国大戦では、右打席からの右中間適時二塁打を見せてくれた。高校通算23本塁打。ロッテでプレーした藤沢翔陵の川俣浩明監督も「右にも左にも強い打球が打てて、スタンドにも放り込める。上を目指せる選手」と教え子に期待する。

 チームは、勝ち点3で首位。ルーキー首位打者となって、チームが優勝すれば、MVP候補にもなりそうだが、梅沢に余計な気負いはない。「これだけ打てて、自分でも驚いているところもある。いいバッターが並んでいるので、4番らしくとは思いすぎずに、つなげる役目だったりをして勝ちにつなげたい」。今春の最終カードは5月18日からの横浜商大戦だが、この日は、高校の関東大会、六大学野球が重なっていて、見にいけそうにないのがもどかしい。 (アマ野球担当・小原栄二)