第104回天皇杯全日本サッカー選手権の東京都代表を決める第29回東京都サッカートーナメント(東京中日スポーツ、東京新聞など共催)の決勝は11日、東京都北区の味の素フィールド西が丘で行われ、横河武蔵野(日本フットボールリーグ)が4大会ぶり6度目の出場を決めた。1―1からのPK戦を5―4で制し、日大(関東大学1部リーグ)を退けた。本大会は25日に開幕。横河武蔵野は1回戦で栃木県代表(12日に決定)と対戦する。勝てば、2回戦でJ1札幌に挑戦。決勝は11月23日に国立競技場で開催される。

 GK末次敦貴が相手の6人目のキックをはね返し、激闘にピリオドが打たれた。PK戦の末に4大会ぶりとなる天皇杯出場を決めた横河武蔵野。ピッチ上に幾重もの歓喜の輪ができた。

 後半のラストプレーで追いつかれてしまった。逃げ切れなかったことに怒り、「ぶち切れていました」と末次。しかし、その一方で、「見せ場が来た。出番が来た」とPK戦で張り切った。通常の5人では決着をつけられなかったが、最後にストップし、「勝ったことがすべて。(PKを)止めてスッキリしました」と胸を張った。

 最大の勝因は楽しんだことかもしれない。悪夢の同点弾を浴びたあと、「みんなでこの状況を楽しもう」と主将のDF小林大地が声をかけたが、改めて言うまでもなかった。「きついときも楽しんでみんなで乗り越えようぜという(前向きな)メンタル」(小林)を全員がスマイルで貫き、勝利をたぐり寄せた。

 大黒柱の背番号8は、「負ける気はしませんでした。最高です。ただ、それだけです。(本大会では)下克上です」と、報道陣にも笑顔を見せながら、スタジアムをあとにした。

 ○…48大会ぶり3度目の出場を目指した日大は一歩及ばなかった。土壇場で試合を振り出しに戻したが、PK戦で屈した。来季からJ2甲府入りすることが内定しているエースFW熊倉弘達(こうたつ、4年・前橋育英)は、チャンスを生かせずにノーゴール。「プロ(入り)が決まっている人は違うなぐらい思わせたかったんですけど、悔しい結果に終わりました。(負けた)責任は自分にあると思います」と、唇をかんだ。