◇12日 第19回ヴィクトリアマイル(G1・東京・芝1600メートル)

 後方待機の差し馬勢と一緒に伸びてはいても、脚いろは周りと同じ。ナミュールの末脚は単勝人気で”2強”の一角に推された馬らしからぬジリ脚で、勝ち馬から0秒5離された8着に終わった。

 武豊は「結果が出せず残念。初めて乗ったので比較はつかないが、切れる脚を出せず、最後までジリジリ。本来の決め手を出せませんでした」と首をひねった。

 出遅れはしたが、それだけを敗因にはできない。高野師もそこがもどかしい。「前をクッと上げるいつものスタートがもろに出てしまっての出遅れ。ただ、それだけじゃないですね。『ハミにグッとくるところがなかった』というジョッキーのコメントも聞くと、エネルギー充満でここにこられたかというと、そうでなかったようです。いつも通りが出せなかった」

 入厩10日の短期決戦だろうと、状態をきちんと把握しつつの管理を旨とする理論派トレーナーだけに「見えない何か」のせいにはしたくない。今後の路線はあくまで馬の様子を見ての判断となる。現役随一のはずの切れ脚復活に、陣営の立て直しが始まる。