◇米ツアー見聞録

 前週の米女子ゴルフでツアー史上初の出場6大会連続優勝に挑んだネリー・コルダ(米国)。結果は優勝したローズ・チャン(米国)と17打差と遠く及ばず、7位で大会を終えた。最終日を戦い終えたコルダはキャディーに肩を抱かれながら大声援に手を振った。連勝記録は「5」でストップしてしまったが、プレッシャーから解き放たれたのか、ほっとした表情が印象的だった。

 出場5連勝はナンシー・ロペス(米国)とアニカ・ソレンスタム(スウェーデン)と並ぶ大記録。折しも大会の「コグニザント・ファウンダーズ・カップ」はLPGAツアーを創設したファウンダーズ(創設者)13人を尊んで設立された大会。その創設者たちは既に他界してしまっているが、代わってLPGAツアーレジェンドのパット・ブラッドリー、ベス・ダニエル(ともに米国)らが壇上からコルダを誇らしげに見守った。

 2日目を終えてトップと4打差の3位につけていたが、決勝ラウンドは73、73のオーバーパー。ショットが安定せず、アプローチでもミスと苦しい戦いだった。11打差で迎えた最終日は実質的には逆転は不可能。記録が途切れることが濃厚な中、最後まで戦い抜いた姿には大喝采が送られた。

 男子とは違い、米国での女子ゴルフの注目度は決して高くない。しかしながらコルダの記録には全米が注目した。大会開幕の週、コースからほど近いニューヨークで「メットガラ」というパーティーが催された。これはマンハッタンのメトロポリタン美術館で毎年開催されるファッション業界の一大イベント。そのオープニングを飾るパーティーにハリウッドスターやスーパーモデルとともにコルダが招待された。

 一流デザイナーの深紅のドレスに身を包んだコルダは照れくさそうだった。ゴルファーが招待されたのはタイガー・ウッズ(米国)に続く2人目という快挙。女子ゴルフの存在が世界に示される大きな出来事だった。

 「6連勝はできなかった。この数カ月間のことはまだ実感がわかない。たぶん10年後、15年後に振り返ってその大きさを知るのかもしれない」と静かに話したコルダ。そして「誰かがこの記録を破ってほしい」とも付け加えた。まだ25歳。自身が新記録を達成する日がくるかもしれない。 (全米ゴルフ記者協会会員)