チーム移籍5戦目で、「やっとシーズンが開幕した気分」とひと安心だ。ロードレース世界選手権(WGP)のモト2クラスにMTヘルメット・MSIから参戦する小椋藍(23)が、12日の第5戦フランスGP(ルマン・ブガッティサーキット)で今季初表彰台を獲得。マシントラブルで予選17番手に沈んだ苦境を乗り越え、素晴らしい追い上げで2位フィニッシュしたレースを振り返ってもらった。(聞き手=遠藤智)

2位想像できなかった

 −マシンの駆動系トラブルによる予選17番手から2位フィニッシュ。レース後の気持ちは?

 小椋「正直、ホッとしている。フロントロー(獲得か)、表彰台に立たないとシーズンが始まらない感じなので、やっと開幕した気分。厳しいグリッドからの決勝で、目標は5位だった。2位でゴールできるなんて、本当に想像できなかった」

 −スタートが良く、オープニングラップで11番手に浮上。レース中盤には5番手になった。

 「今回はセクター3が良くて、右ヘアピンと、その先のシケインで前との差を詰められた。最終ラップに(3位のアロンソ)ロペスを抜いたのも右ヘアピン。セクター3の走りが最終セクションのブレーキングにつながり、全体的にポジションを挽回できる要因の一つだった」

 −18周目に4番手に上がり、最終周で2人抜き。どの時点で表彰台に立てると思った?

 「ラスト2周になったとき、2番手を走るロペスが2&3コーナーの切り返しでミスをして、ロペスと(3番手だったアーロン)カネットとの差が一気に縮まった。あれがなければロペスには届かなかったと思う。最後までペースを維持できたのが良かった」

セッティング見つけた

 −今年は予選が悪すぎる。第2戦ポルトガルの7番手がベスト。それぞれ理由は違うが、ここ3戦は連続17番手に沈んだ。

 「そうですね。これからは追い上げるレースじゃなくて、前からスタートして強いレースをしたい。予選はもちろん、3日間通して、ちゃんと走りたい。今回は予選を抜きにすれば、良いレースだった」

 −その分、今年はスタートが良く、追い上げの大きな力になっている。

 「良いスタートを切るコツというか、セッティングを見つけられた。秘密ですけどね」

 −今年のルマンは3日間で30万人の大観衆が集まった。

 「年々すごくなっているような気がする。観客も増えているし、盛り上がっている。とにかく人が多いし、チェッカーを受けてからの1周はすごい歓声で、完全にお祭り騒ぎだった」

 −表彰台も独特。ルマンで初めて立った印象は?

 「アルゼンチンと同じで、表彰台の向きが違って新鮮。斜めになっていて、スタンドの大観衆が見えてすごかった」

祖父にメッセージ送る

 −レース後のインタビューの最後に、日本語でメッセージを送った。

 「(母方の)祖父がここ1年くらい体調を崩して入院していて、いつもテレビを見てくれているので『じーじ、頑張って!』と。僕と姉(オートレーサーの華恋)のレースは、いつも見てくれている」

 −レース後は休む間もなく移動した。

 「毎年のことですけどね。レース後の会見が終わって食事しようとしたら『行くぞー』って言われて、何もできないままバタバタと(パリの)空港に向かった。モトGP(クラス決勝)が始まったときには、もうサーキットから出発していた。良いレースができたから、それも良い思い出。次のバルセロナ(カタルーニャGP=26日決勝)も良いレースができるように頑張ります」