山々の青葉が目に染みる季節となってきた。今年もあと2週間で長良川郡上漁協管内のアユ釣りが解禁となる。

 今年の郡上漁協のアユ放流量は17トン(約170万匹)、4月3日に放流を開始し5月20日には完了予定だ。今年の解禁は6月1日と例年よりやや早めとなるため、早期の放流に重点を置き、4月末までには全体量の3分の2を放流した。放流開始以降、河川の状況もほぼ順調に推移している。放流種苗は全て岐阜県魚苗センター産の海産系人工種苗だ。この種苗は遺伝的に天然遡上(そじょう)アユに極めて近く、アユ資源の再生産に寄与することを期待して生産されているもので、当コラムでも何度か触れているとおりだ。長良川流域各漁協で放流されるアユの多くがこの種苗だ。

 天然アユも良い感じで遡上している。この原稿を書いている6日現在、長良川河口堰(ぜき)におけるアユの遡上計測数は約30年前に計測を開始して以来3番目で、すでに昨年の最終実績を上回っている。AIによる計測以前とは単純に比較できないが、遡上は良好と言ってよいだろう。

 以上の観点から今年のアユを占うと、控えめにみても「吉」としたい。あくまで筆者の主観によるものではあるが…。

 あえて気がかりな点があるとすれば、気候変動に伴う異常気象だ。これだけはわれわれの力ではどうしようもないが、昨今恒常化しつつある夏場の河川水の高温化や豪雨に伴う大増水など、アユや河川に大きなダメージを与えるような事態だけは御免こうむりたいものだ。いよいよ暑い(熱い)アユの夏が始まる。皆さんにとって楽しいシーズンとなることをお祈りする。

 (岐阜県郡上市在住、隔週土曜日に掲載)