将棋の藤井聡太名人(21)=竜王・王位・叡王・王座・棋王・王将・棋聖との八冠=に豊島将之九段(33)が挑戦する第82期名人戦7番勝負第4局は19日、大分県別府市の「割烹旅館もみや」で2日目の対局が行われ、先手・豊島九段の封じ手、39手目から4手連続で桂馬が飛ぶ攻め合いの展開となった。封じ手は開始位置にいた左の桂馬を活用する一手で、対する藤井名人も同じく左桂の活用を狙った。豊島九段が44分を使い桂馬を中段に跳ねる継続手を指すと、藤井名人も100分を費やして左桂を中段に飛んだ。午前中はこの桂馬が動いただけ。

 1日目には豊島九段が3手目に1筋の歩を突く珍しい指し手を見せ、さらに29手目で早くも角を切ると、藤井名人も32手目に飛車を捨てる激しい応酬。ともに玉をしっかり囲わないまま、いつ本格的な戦いに突入してもおかしくない状況で2日目を迎えていた。2日目の午後の1手に豊島九段は昼食休憩の1時間を挟んで96分考えて、桂馬の攻撃に備えて金を1つ上がる手を指すと、藤井名人は馬と飛車を交換する大胆な手順を選び、敵陣最下段に銀を打ち込む勝負手を敢行した。藤井名人が50手目を考慮中に午後3時となり、午後のおやつが運ばれた。藤井名人は「中村家のかるかん」と黄金かぼすの地熱ビネガー、豊島九段は「温泉蒸しプリン」とかぼすハチミツジュースを選択した。

 藤井名人が初防衛に王手をかけて迎えた本局は同日夜に決着の見込み。両者は過去36局対戦し、藤井名人の25勝11敗。藤井名人がプロデビューした直後は豊島九段が6連勝したが、最近は藤井名人が12連勝中。タイトル戦では5度目の顔合わせで過去は藤井名人が番勝負4連勝。叡王、竜王を獲得、王位を2度防衛している。