F1 第7戦 エミリアロマーニャGP 決勝 19日

イタリア・イモラサーキット(4.909キロ×63周) ペン=尾張正博、ルイス・バスコンセロス

 絶対王者が辛勝に胸をなで下ろした。レッドブルのマックス・フェルスタッペン(26)=オランダ=が、ポールtoウインで今季5勝目(通算59勝目)。終盤はマクラーレンのランド・ノリス(24)=英国=の猛追を受け、0・725秒差でかろうじて逃げ切った。前戦のマクラーレン、今大会のフェラーリと、アップグレード(改良版部品)を投入したライバルチームはマシンの戦闘力が確実に向上。欧州ラウンドに入り、レッドブル圧勝の構図が徐々に変わりつつある。

 勝ったフェルスタッペンに、いつもの余裕はなかった。「最後10〜15周はタイヤのグリップがなくて、めちゃくちゃ滑りまくり。ランドが迫ってくるのも見えて、すごく大変だった。勝てて本当にうれしいよ」。心からホッとした表情で、63周のレースを振り返った。

 序盤は快調だった。最初に履いたミディアムタイヤでポールポジションから飛ばし、ぐんぐん後続を引き離す。欧州に戦いの舞台が移っても、これまで同様に圧勝すると思われた。ところが、24周目終わりにハードに替えてから暗転。だんだんペースが落ち、自分より古いハードを履いたノリスに追い立てられる。

 トラックリミット違反(走路外走行)の警告も受け、あと1度でも犯せばタイム加算ペナルティーで優勝を逃す大ピンチ。「ミスするわけにはいかなかった。とにかく集中して、できる限り全力でプッシュし続けたよ。逃げ切れてラッキーだったね」。まさに冷や汗ものの勝利だった。

 今大会は初日のフリー走行からペースが伸びずに大苦戦。前日の予選でV字回復を見せたものの、セットアップを煮詰めきれず、決勝のハードで不調に陥った。

 いずれも2位に10秒差以上つけてきた今季の過去4勝から一転、1秒差以内の辛勝。「1日(レースを)走って、スタートした時と同じぐらいの、本当に小さな差しかなかった。ハードがダメだった理由をきちんと分析して理解しないと」。ライバルたちの迫り来る足音を、骨身に染みて痛感する一戦となった。