千葉県木更津市の龍宮城スパホテル三日月で6日に指された将棋の第95期棋聖戦5番勝負第1局で、15年ぶり2度目のタイトル戦登場の挑戦者・山崎隆之八段(43)は藤井聡太棋聖(21)=竜王・名人・王位・叡王・王座・棋王・王将との八冠=に90手で敗れて、黒星スタートとなった。

 7筋の歩を早めに5段目まで進出させるなどあまり前例のない形を築いたものの、「どうやって面白い駒組みにするかを考えたが、ちょっと欲張った」と悔やんだ。形勢の悪くなった終盤には、飛車で攻め入って勝負に出た。しかし、その後に自玉が危なくなる手順が残されていることに後で気付き、「うっかりがあって…。もうちょっと辛抱する指し方を選ばなければいけなかったけど、我慢し普段よりも踏み込まないと勝ち目がないかなとも思って」。藤井棋聖という強敵を前に判断を誤った部分があったようだ。

 それでも、久々のタイトル戦。「より引き締まる空気で将棋を指せるのはかなり幸せなことだとは思った」と雰囲気を堪能できた。もちろん、初タイトルへのチャンスは残っており、「自分のベストをもっと出し切ってもっといい将棋を指したい」と気を取り直した。