◇28日 陸上 日本選手権第2日(新潟市・デンカビッグスワンスタジアム)

 パリ五輪代表選考会を兼ねて行われ、女子1500メートル決勝で田中希実(ニューバランス)が4分1秒44の大会新記録で5連覇を達成。パリ五輪参加標準記録の4分2秒50を突破し、すでに代表内定済みの5000メートルに続き2種目の代表切符をつかんだ。

 自力でのパリ五輪代表入りを決めた田中はペースメーカーのヘレン・エカラレ(豊田自動織機)と笑顔で抱き合った。昨年の世界選手権で入賞した5000メートルでは既に参加標準記録を突破しており、五輪代表に内定。2枚目のパリ切符も規定の期限内に4分2秒50の参加標準記録を切って獲得して、「ちゃんと堂々と五輪に乗り込めるので、自分の中でアドバンテージになる」とうなずいた。

 ”ケニアパワー”を味方につけた。今大会の直前にケニア合宿を経験し「直近まで一緒に練習したり、バチバチのケニア人同士のレースを見たりして、ケニアで経験したことをこの大会でもできるのが楽しみだった」と明かす。2021年東京五輪では3分59秒19の日本新記録をマークし、日本人初の8位入賞を果たした。その後は”3分台の壁”を超えられずにいたが、「少し3分台までの壁は薄くなったかな」と手応えをつかんだ。

 今大会は800メートルと5000メートルにもエントリー。2年ぶりの3種目挑戦で、4日間で最大5レースを走る。「1500メートルで終わりという選手もいて、私も今日で終わりぐらいの気持ちで走った。明日もまだあるのが不思議な感じだったり、怖い気持ちもあり、楽しみな気持ちも…。なんかそれがすごく幸せ」。田中らしく哲学的な言葉を織り交ぜて、後半の2日間に目を向けた。