夏の甲子園への出場をかけた地方大会が、今年も全国各地で始まる。都道府県代表の切符をつかむために一つも負けられない戦いで、強豪校が安定して勝ち続けている地方もあれば、番狂わせが起きやすい地方もある。各都道府県の最近の傾向はどうなのか。2000年以降の結果からランキング化した。(コロナの影響で独自大会だった2020年は除外)

◆1強

1位 福島(聖光学院18回)

2位 和歌山(智弁和歌山17回)

3位 高知(明徳義塾16回)

4位 宮城(仙台育英14回)

5位 滋賀(近江12回)

 まず、強豪校が圧倒していて番狂わせが少ない都道府県はどこか。00年以降で、一つの高校が最も多く優勝していたのは福島。聖光学院が13連覇を果たすなど圧倒的な強さを誇っていた。和歌山と高知が続き、この3県は過去23年で甲子園の出場校が各4校と最少だった。

 2年前の仙台育英による「白河の関」越えが記憶に新しい宮城は、同期間で仙台育英と東北の2校だけで計19回の優勝を占める。他に複数回優勝した高校がない。

 滋賀は近江が5連覇中で、近年は公立の八幡商や北大津が優勝から遠ざかっている。神奈川でも横浜が12回優勝しているが、うち2回は枠が増えた記念大会で、他にも東海大相模と桐光学園が各4回、慶応3回と複数の優勝がある強豪が多いことから次点とした。他には10年代以降に限れば、栃木で作新学院が10連覇を果たしている。

◆2強

1位 奈良(天理10回、智弁学園10回)

2位 青森(八戸学院光星11回、青森山田8回)

3位 岩手(花巻東9回、盛岡大付9回)

4位 埼玉(浦和学院11回、花咲徳栄7回)

5位 福井(福井商10回、敦賀気比7回)

 2強はやはり、天理と智弁学園の奈良。00年以降は互角で、両校以外に複数回優勝した高校がない。青森は00年代に青森山田が強かったが、10年代からは八戸学院光星が圧倒しており、2強というよりは覇権が移り変わったといえる。これは福井の福井商と敦賀気比も似たような傾向だ。

 岩手は2強以外にも一関学院が3回、専大北上が2回と続き、00年以降はこの4校が優勝を独占。埼玉も2強以外に聖望学園が3回、春日部共栄と本庄一が各2回優勝しており、他の学校は優勝できていない。

◆3強

1位 鹿児島(樟南9回、鹿児島実6回、神村学園6回)

2位 徳島(鳴門9回、鳴門渦潮6回、徳島商5回)

3位 山形(酒田南8回、日大山形6回、鶴岡東5回)、山梨(山梨学院8回、東海大甲府6回、日本航空5回)、石川(星陵8回、遊学館6回、金沢5回)

 三つ巴の傾向が最も強かったのは鹿児島で、この3校以外には06年の鹿児島工、14年の鹿屋中央の優勝があるのみ。徳島の鳴門渦潮は統合前の鳴門工と鳴門第一も含めての数字だが、統合後の優勝は1回のみ。10年代からは鳴門の強さが目立っている。

 3位に並んだ3県のうち、近年でも三つ巴の傾向が残っているのは山梨。山形は00年代に強かった酒田南に代わり、10年代からは鶴岡東と日大山形の2強の傾向に。石川も近年は星陵の1強に近づきつつある。

◆群雄割拠

 では優勝の行方が最も読めない都道府県はどこか。00年以降で地方大会での優勝校の数、同一校による優勝回数と連覇の数、さらには初優勝を果たした高校の数から比較した。

 優勝校の数が最も多かったのが、07年に甲子園で公立の佐賀北が「がばい旋風」を起こした佐賀、18年に白山による奇跡の「下剋上」が話題を呼んだ三重、近年は公立校の活躍が目立つ兵庫の各13校。これらの中では佐賀が、一つの強豪校による優勝や連覇が最も少なかった。

 だが、ノーマークの学校が優勝する波乱の起きやすさに着目した場合、00年以降で三重は甲子園初出場を果たした高校が9校もあった。ドラマにもなった通り「下剋上」が起きやすい舞台だったといえる。珍しい例が宮崎で、00年以降で優勝校は計11校だが、同期間で連覇がゼロ。宮崎での連覇は63年と64年の宮崎商までさかのぼる必要がある。