◇5日 ヤクルト3―10巨人(神宮)

 また一つ、新たな勲章が加わった。巨人の先発・戸郷翔征投手が6イニング1/3を3失点に抑え、通算111試合目の登板で節目の50勝をマークした。50勝到達のペースは、2リーグ分立後の巨人では桑田真澄の113試合目を抜き、上原浩治、江川卓、堀内恒夫、菅野智之に次ぐスピード記録。チームの歴史を築いてきた大エースの系譜を、力強く踏み締めている。

 決して本調子ではなかったが、試合の流れは手放さなかった。球がやや高く7安打を浴びたが、力強い直球に加えて伝家の宝刀であるフォークを軸にした投球で要所でしっかり締めた。「苦しい展開が続きましたけど、最少失点に抑えられたのはとても良かった」と粘投を振り返った。

 この日は初回から大量援護をもらい、7回途中に降板した後は4投手の継投でヤクルトの反撃をしのいだ。戸郷は「たくさんの方のおかげで50勝できた。僕だけの力じゃない」。周囲の支えに感謝した。

 2リーグ分立以降の巨人での50勝達成は、高卒の選手では堀内の108試合目に次ぐ速さ。「偉大な人に並べてすごくうれしい。そういう記録をいろいろ伸ばしていきたい」と、球史に名を刻む活躍を重ねていくことを誓った。投打がかみ合ったチームは6月25日以来の連勝。若きエースの輝かしい記録が2020年以来のセ・リーグ制覇を狙うチームに勢いをもたらした。