■第5世代のWRXは2.4Lターボを搭載。樹脂製ガーニッシュには空力テクスチャーを採用

2021年9月、スバルがアメリカで新型WRXを発表しました。公式に日本でのローンチについての情報は出ていませんが、販売店では事前予約的な交渉も始まっているといいます。日本でも、ほぼこのままの姿で売り出されることは確実といえます。

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2.4Lターボを搭載することで日常域での扱いやすさや気持ちよさを追求したいという

そんな新型WRXは、初代インプレッサWRX(GC8)から数えて5世代目に当たります。ボンネットの大型インテークからもわかるように、新型になってもボクサーターボエンジンというアイコン的メカニズムは守られています。当然、駆動系はスバルのコアテクノロジーであるシンメトリカルAWD、北米仕様では6速MTと「Subaru Performance Transmission」というATが用意されると発表されています。

エンジンについては、2.4Lのガソリン直噴ターボで電動化は非採用となっている模様。北米仕様の最高出力は271hp/5600rpm、最大トルクは258lb-ft/ 2000-5200rpmとアナウンスされました。最大トルクをSI単位にすると約350Nmです。

第4世代のWRXにおいても北米仕様より日本仕様はパワフルなセッティングとなっていたので、この数値を気にしすぎる必要はないでしょうが、2.4Lターボとして考えると、若干期待外れといいますか、もっとトルクフルなスペックを想像したくなるところではないでしょうか。

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ボディサイズは全長183.8インチ(約4668mm)・全幅71.9インチ(約1826mm)・全高57.8インチ(約1468mm)となる

それはともかく、新型WRXについては、そのルックスが賛否両論となっているようです。とくに樹脂製フェンダーモールは、まるでSUVのようでスポーツセダンとしては、どうにも違和感を覚えるというユーザーも少なくないよう。せっかくフロントフェンダーをアルミ製としているのに、このフェンダーモールによってそうした部分は隠れてしまっていると感じます。

たしかに、もともとWRXというのはラリーレジェンドがルーツですから、フェンダーモールによって車高が高く見える演出というのはヘリテージ的には正統かもしれませんが、それにしても近年のWRXが持つスポーツイメージと新型のルックスはどこかズレにようなものも感じます。

スバルいわく「フロント・リヤフェンダーのスポーツサイドガーニッシュやサイドシルスポイラーなどに、空気の流れを整えるヘキサゴンパターンの空力テクスチャーを採用」ということです。表面の形状に意味があるのであれば、樹脂むき出しとなることにはテクノロジー的な意味があるわけで、セダンにSUV要素をプラスしたというわけではありません。

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新型WRXは動的質感やNVHといった上質さも考慮したパフォーマンスカーとして仕上げられた

BRZのバンパーなど樹脂むき出しの部分に空力テクスチャーがあしらわれているのと同じ効果を求めるためにはフェンダーモール(スポーツサイドガーニッシュ)やサイドシルスポイラーは樹脂むき出しであることが必然と理解すべきなのかもしれません。

北米仕様におけるWRXというのは、グローバルに見るとWRXシリーズにおけるベーシックグレードという位置付けであって、その高性能バージョンとしてWRX STIが存在するというのが従来の流れです。その証拠に、北米仕様として発表されているWRXのブレーキシステムは片押しタイプとなっています。

もしWRX STIが用意されているとすれば、ブレーキは対向キャリパーになるでしょうし、さらに前述した樹脂製パーツがリアルカーボンになったりといったグレードアップもアイデアとしては考えられます。

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デュアルテールを左右に配した4本出しマフラー、バンパーにはアウトレットが与えられている。トランクも従来同僚の容積を確保する

またエンジンについても2.4Lターボとしては物足りないスペックですが、それは将来のパワーアップを考慮しているのためかもしれません。

北米仕様ではAT車に最新世代のアイサイト(先進運転支援システム)が備わるといいます。さらに上級グレードにはレカロシートの設定があるなど、ゴリゴリのスポーツセダンといよりはラグジュアリー&コンフォート要素を増やしているのが第5世代のWRXです。

今回のフルモデルチェンジではホイールベースを延長することで後席スペースを拡大したというのもアピールポイント。トランクにはベビーカーも余裕で積載できるというわけで、ファミリーカーの新しい選択肢となり得るモデルなのかもしれません。

そう思うと、SUV的な樹脂製フェンダーモールというトレンドに乗ったスタイリングは、ファミリーカーとしてもSUVが人気になっている中で、記号的な意味で有効なのかもしれません。

(自動車コラムニスト・山本晋也)