■コンセプトカーのエッセンスを再現する

シトロエンの伝統である、Cセグメントハッチバックの「復活」として登場した「C4 & E-C4 ELECTRIC(以下「C4」)。シトロエンの新世代デザインを採用したという同車について、その革新性な造形をさっそくチェックしてみたいと思います。

C4・メイン
ハッチバックボディにSUVのテイストを加えたボディ

C4のデザイン上の大きな特徴はふたつ。まず、ハッチバックでありながらSUVのテイストを組み合わせたこと。

もうひとつは、2016年のパリモーターショーで発表されたコンセプトカー「CXPERIENCE(Cエクスペリエンス)」のエッセンスを直接的に採り入れた最初の商品であることです。

C4・コンセプトカー
2016年に発表された「CXPERIENCE」

背の低いSUVといえば、ドイツ勢を筆頭にクーペ化したSUVが絶賛流行中ですが、C4の場合はあくまでハッチバックボディに大径タイヤの力感を与えたもので、実はかなり独自のプロポーションを持っています。

フロントビューでは、ダブルシェブロン上段のクロームラインがデイタイムライニングライトへ跳ね上がり、下段がヘッドランプへ下っています。これにより、左右にできた横向きのV字が新世代の「顔」というワケです。

C4・フロント
コンセプトカーを再現するフロントビュー。バンパー回りは要素が多い

2本のラインを上下のランプに「分ける」という発想はユニークですが、たとえば初期型の「C3」や「ベルランゴ」のように、独立した丸型ランプによる柔らかい表情は消え、かなりシャープな顔付きになりました。従前の「ほのぼの顔」からの路線変更です。

グリルやバンパーの造形要素の多さも、ベルランゴなどと違うところ。もちろんSUVの力強さの表現もありますが、実は、この造形要素の多さがC4の意外な特徴と言えそうなのです。

C4・ボンネット
ボンネット左右には大きな「切り欠き」が施される

たとえば、ボンネット左右には大きな「切り欠き」がありますが、とくに視界確保性は感じられず、どちらかというとアクセント的。

これは、フロントホイールアーチ後ろの削いだラインも同じで、機能というよりサイド面の変化を狙ったかのようです。さらに、二重のホイールアーチラインも含め「結構線が多いな」と感じさせます。

そのほか、サイド面ではベルトラインがリアドア後ろから若干持ち上げられています。これは結構よく見かける手法で、ボディに動きを持たせることと、リアフェンダーの張り出しを強調する役割と察しますが、やはり要素の加算ではあります。

C4・フェンダー
大きな「切り欠き」はサイド面にも

ルーフエンドは、ブラックパーツでまとめたのが特徴。実はガラスではなく樹脂製のリアクオーター、ピラー下部の細いパネル、リアウイング、リアガーニッシュと、すべてブラックで統合され、ここにフロントと相似形のV字型リアランプを載せた格好です。ここは多くの要素をうまく集約しました。

一方で、リアバンパー周囲は大きな凹面で構成され「こんなにザックリ削らなくても」というくらい(笑)。たしかに、フロントバンパー同様ある種のSUVらしさは出ていますが、かなり複雑な造形ではあります。

C4・サイド
ベルトラインは後半でキックアップされる

●ディテールをどう表現するのか?

造形の基本となったCエクスペリエンスは、実に滑らかでシンプルな造形が特徴で、グリルやランプ類の新提案は、あくまでその中に溶け込んでいます。それに比べると、C4ではダイレクトな凹凸がボディ各所に表出しています。

C4・リア
V字のリアランプと凹面のリアパネルが特徴

実は、シトロエンはC4の発表に当たって「プロポーション、シルエット、ディテールすべての要素で革新的であること」と謳っているのです。つまり、単にシンプルだとかスタンスがいいとかでなく、細部にまで徹底してこだわるのだと。

それを踏まえると、SUV的な表現を付加したハッチバックとしては、いい「落としどころ」を見出したのかもしれません。いずれにしても、今後のシトロエン車のディテール処理には要注目と言えるでしょう。

※文中、「E-C4」の「E」はキリル文字。

(すぎもと たかよし)