■ついに4.6m台に突入し、伸びやかで低いシルエットが際立つ

新型トヨタ・プリウスが2023年1月10日に、ハイブリッド(シリーズパラレルハイブリッド)仕様から発売されました。

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新型トヨタ・プリウス(ハイブリッド)のエクステリア

プレス向け試乗会では、ハイブリッド仕様の公道試乗に加えて、新型プリウスPHEV(プロトタイプ)を従来型と乗り比べることもできました。

ここでは、新型プリウスのデザインやパッケージングについてチェックしていきます。40プリウスの面影をほとんど残していない50プリウスは、低くワイドなシルエットが目を惹きます。歴代プリウスと新型のボディサイズを並べてみました。

初代:全長4275×全幅1695×全高1490mm、ホイールベース2550mm
2代目:全長4445×全幅1725×全高1490mm、ホイールベース2700mm
3代目:全長4460×全幅1745×全高1490mm、ホイールベース2700mm
4代目:全長4540×全幅1760×全高1475mm、ホイールベース2700mm
5代目:全長4600×全幅1780×全高1430mm、ホイールベース2750mm(2.0Lの場合。1.8Lの全高は1420mm)

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新型プリウスのリヤビュー

初代と比べると、ふたまわり近く大きくなっています。

新型プリウスは、従来型よりも60mm長くなり20mmワイド化され、全高は45〜55mmも低くなっています。1800mmまであと20mmまで迫り、ロング&ワイド&ローといえるシルエット。また、ホイールベースは、50mm延ばされています。

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キャビンも薄く見える

豊田章男社長から「プリウスを、タクシー専用モデルにしてはどうか」という提案もあったというエピソードも紹介されていますが、「汎用化よりも愛車となり得る存在」を選んだ新型は、極端なローフォルムになっています。

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新型プリウスのフロントマスク

愛車になってもらえるように、サイドビューのスケッチを具現化するべく、デザインや諸元、パッケージングが決まったのでしょう。狭幅、

大径の形状が特徴であるブリヂストンの「ologic(オロジック)」技術を使った「ECOPIA(エコピア)」をはじめ、横浜ゴムの「BluEarth-GT AE51」、DUNLOP「ENASAVE EC350+」が採用され、このシルエットに寄与しています。

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新型プリウスは19インチタイヤを設定する

19インチタイヤを履きこなしたサイドビューに映ります。なお、プラットフォームは、カローラスポーツ(カローラのワイド版)を改良した第2世代の「TNGA」が使われています。

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新型プリウスの外観

デザインで目を惹くのは、プリウスならではの特徴である「モノフォルムシルエット」。2代目では「トライアングルモノフォルム」を謳っていました。

新型は、つなぎ目が少なく連続感のあるサイドビューが特徴的で、Aピラーからフロントスクリーン、テールゲートまで流れるようなラインを描いています。この極端に寝かされたAピラーの角度は、何でもレクサスLFA並だとか。

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「モノフォルムシルエット」が目を惹くリヤビュー

また、最近のトレンドであるキャラクターラインを最小限に抑え、レンジローバー(ランドローバー)やマツダが近年アピールしている「引き算の美学」にも相通じる雰囲気を漂わせています。

フロントマスクは、bZ4Xやクラウンと同様に「ハンマーヘッド」をモチーフに、つり上がった「コ」の字型のようなヘッドライトを強調。リヤビューも印象的で、横一文字のテールランプの下に車名ロゴが配されていて、こちらも最新の流行が採り入れられています。

●低全高化により乗降性、居住性はどうなった?

個人的には、世間の多くの評価と同じように、先代よりも文句なくカッコよく感じられる反面、乗降性や前後席の頭上まわり、視界などには、影響も及ぼしている感じがあります。

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新型プリウスのインパネ

身長171cmの筆者が乗り降りする際は、前席だとこのAピラーとルーフを意識させられますし、ルーフラインのトップ(頂点)近くになる後席頭上も決して広くは感じられません。サイドシルの幅、サイドシルと床面との段差もそれなりにあり、リヤドアの開口部下側(開口幅)なども広いとはいえません。

全幅は1.8m以下とはいえ、ワイド化されたことで、狭い駐車場では、ドアを開ける際に少し気を使うシーンもあるかもしれません。

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アウトホイールメーターを採用する

背の高いSUVをはじめ、スライドドアを備えたミニバン、スーパーハイト、ハイトワゴンの軽自動車やコンパクトカーが全盛期を迎えていることもあり、久しぶりにこうした背の低いモデルに乗り降りすると、ルーフの低さやリヤドアの開口幅、あるいは足さばきなども気になるかもしれません。

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弧を描くルーフライン

ただし、お年寄りや身体の不自由な方に最適な乗降性とはいえませんが、子どもも含めて毎日乗る実用車として不便を感じるほどではないので、ご安心を。

前席に収まると、「アイランドアーキテクチャー」と呼ぶコンセプトによる圧迫感の少ない前方、左右の視界が広がります。

既述のAピラーは、極端に寝かされているものの、運転席からは遠く感じるのと、ドアミラーの位置を最適化したという恩恵で、郊外路を走らせている分には、斜め前方の視界は、想像よりも良好に感じられました。

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新型プリウスの前席。斜めにAピラーが横切るのが分かる

歩行者や自転車などが多く行き交う都市部や、狭い住宅街などでどう感じるかは、後日機会があれば確認したいと思います。

一方の後方視界は、真後ろの視界も小さめで、斜め後方は良好とはいえません。Cピラーの角度も寝かされていて、ブラックアウトされていた先代と比べると、太く見えることもあるのでしょう。

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新型プリウスのリヤシート

今回の試乗では、コーナーの途中から大きな道路に出たり(右折時はブラインドコーナーに近かった)、撮影するためにUターンしたりすることが何度もあり、斜め後方を目視する際はかなり制約を受ける印象。

「パノラミックビューモニター」や「コーナリングビュー」、各カメラ機能をあらかじめ地点登録することで、カメラ映像に自動的に切り替わる機能なども用意された高性能かつ、高精細な「パノラミックビューモニター」は、必須装備といえそうです。

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荷室容量は小さくなったが、Cセグメントとしては広めの荷室容量を確保する

前席はゆとりのあるシートサイズ、厚みと適度なホールド性を備えていて、短時間の試乗では、上々といえる座り心地が得られます。頭上まわりもAピラーが遠くに感じられるため、圧迫感も抱かせません。

先述した「アイランドアーキテクチャー」は、こうした圧迫感を抑えたキャビンを実現しているだけでなく、7インチTFTメーターのトップマウントメーターと12.3インチ/8インチディスプレイオーディオから構成されています。

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2.0L車の補機バッテリーは、荷室右側に配置する

トップマウントメーターは、ステアリングリム上からのぞく、いわゆるアウトホイールメーターで、bZ4Xと似たようなメーターの視認性になっています。身長171cmの筆者が、シートリフターとチルトステアリングを何度調整してもどうしても何らかのメーター表示と干渉してしまうのは、やや残念な点。

個人的には、プジョーがはじめた「i-Cockpit」なども含めて、操作系、視界の最適解には思えません。ただし、コストが許せばヘッドアップディスプレイも用意されていれば、かなりカバーできる気がします。

逆に、使い勝手の面で良好に感じられたのは、置くだけ充電ではなく、入れるだけ充電と表現したくなるワイヤレス充電器、節度感が得られる最近のトヨタでお馴染みの電制シフトレバーです。

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横一文字のテールランプと車名ロゴ

ホイールベースが50mm延ばされたリヤシートは、Cセグメントとしては十分といえる足元空間が確保されています。前席シートバック裏がえぐられていることもあり、身長171cmの筆者が運転姿勢を決めた後方には、こぶしが縦に2つ強入り、前席座面下にスニーカーであれば足も完全に入れられます。

一方で、全高が45〜55mmも低くなったことで、後席頭上まわりは広いとはいえず、筆者の場合で手のひら2枚ほどのクリアランスが残っていました。もっと長身だと天井ギリギリになってしまいそう。後席の頭上空間に関しては、デザインコンシャスといえる新型プリウスの影響を感じさせます。

●荷室容量はかなり小さくなっても、日常使いなら問題はなし?

一方で、直線的な大開口部と奥行きのあるラゲッジスペースは、日常使いなら不足はなさそうです。荷室容量は「Z」と「G」が410L、「KINTO Unlimited」専用の「U」であれば422L(通常時、ルーフまで)を確保。2名乗車時のルーフまでの荷室容量は、1163L(2.0Lは1149L)。先代の通常時は502L(FF)もありましたので、VDAの数値としては、全高が低くなり、思い切り寝かされたCピラーの影響などもあるのでしょう。

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スクエアなラゲッジスペース

全高が低くなったことで、背の高い荷物の積載は先代よりも苦手になっているはず。なお、補機バッテリーは、1.8L仕様はフロントフード内に収まっている一方で、2.0Lエンジンはボンネット内に収まらず、ラゲッジスペース右側(カバー下)に配置されています。

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新型プリウスのリヤまわり

ロング&ローとなった新型プリウス。外観デザインのメリットはもちろん、操縦安定性などの走り、空力性能を含めた燃費向上にも寄与。なお、デザインを重視したことで、Cd値(空気抵抗係数)は自体は若干、悪化した一方で、CdA値(空気抵抗係数×全面投影面積)は、従来型と同等レベルだそう。

いずれにしても、単なるデザインコンシャスなモデルではなく、愛車にしてもらうべく、走行性能のブラッシュアップも大きなテーマになっています。

(文:塚田 勝弘/写真:小林 和久)