「このブレーキ、すげえ……」。2020 GT-R NISMOはトータルバランスにも優れたスーパーカーだった【井出有治・試乗・動画】

「このブレーキ、すげえ……」。2020 GT-R  NISMOはトータルバランスにも優れたスーパーカーだった【井出有治・試乗・動画】

■井出有治、(ほぼ)初めての35GT-Rで袖ヶ浦フォレストレースウェイを全開!

●GT-R田村チーフからの挑戦状、受け取った!!

ハイパワーマシン好きな方なら一度は乗りたい! 憧れる!! そう思わせるクルマが日産GT-R(R35)ではないでしょうか。なんたって1000万円越えの日本が誇るスーパーカーですからね。clicccarテストドライバー&プラチナレーシングドライバーの井出有治さんも「GT-Rは気になる1台」とは言うものの…。

井出有治さんとGT-R
プラチナドライバーにハイパワーGT-Rは似合いますね! 思いっきり踏んでください!!

「実は普通の35GT-Rって乗ったことないんです。チューニングショップが作った1000psオーバーを数回、レース仕様はGT3なのでまったくの別物ですが、2013年のSUPER GT・GT300で1戦のみ乗っただけ。Team IMPUL時代のGT500はGT-RではなくフェアレディZでしたからね。

2013年S-GT GT300
井出さん、レースでもGT-Rでエントリーしたのは2013年の1戦のみ、だそう。意外です(OGT!Bonds Racing NISSAN GT-R NISMO GT3:予選25位/決勝5位)。

普通、新車お披露目試乗会って歴代のクルマを試乗された方が、その進化模様をレポートするのでしょうが、ボクの場合、申し訳ないのですがソレは分かりません…なんせ乗っていないので! なので先入観無しで2020モデルのGT-R NISMOを楽しもうと思います!」(井出有治)

GT-Rの顔としてお馴染みの、日産自動車・商品企画部 チーフ・プロダクト・スペシャリスト、田村宏志さんからは「お、それは好都合、歴代モデルの先入観無しは大歓迎!『このGT-R』を評価してください。自信、ありますから!!」ホ〜そうきましたか! じゃ井出さん、思いっきりイってください!(clicccar・永光やすの)

井出さんと田村さん
井出さんのように、乗って走ってしっかり分かる方にインプレッションしてもらえるのは光栄です!(左:井出有治さん/右:田村宏志さん)

●シャシーとパワーのバランスが最高! 特にブレーキシステムはスゴイの一言!!

「35GT-Rはパワーお化けみたいなイメージ」ってBNR32乗りだった元OPTIONのclicccarやすのさんは言いますが、いえいえ、まったくそんなことはありません。開発コンセプトとして田村さんの言う「エンジンがシャシーを超えてはいけない!」というのが凄く感じられました。エンジンパワーだけではなくシャシーや足まわり、ブレーキなど、トータルバランスをちゃんと考えて作ったということが、コースインしてすぐに分かりました。

井出有治試乗
レーシングドライバー・井出有治さん、ほぼ初めてのGT-Rでサーキットを攻める!

まず一番最初に思ったのはブレーキシステムの素晴らしさ! コースインして最初の1コーナーで思いっきりブレーキを踏んだ時、踏んだ分だけしっかりと止まって、またターンインしていくときのコントロール性の良さを感じました。クルマの剛性感がしっかりあるからブレーキングパワーが活きてくるんですけど、それ以上にカーボンブレーキのイイトコロをしっかり活かせているなと思いました。

タイヤ&ホイール+ブレーキ
このキャリパーの「黄色」は、どんな高温になっても色の変化がないのだそうです。

ブレーキは踏んだところでしっかり効いてくれることが大事。1720kgという重めの車両重量を止めてコントロールも出来るので、『他社さんに比べてカーボンブレーキは後発、なので思いっきり開発できました』(GT-R開発スタッフ)ということを証明していましたね。最近乗ったカーボンブレーキの中で今日の2020GT-R NISMOが1番安心して止まれました。

しかも、瞬間的に熱を1000度近くまで上げてブレーキングパワーを引き出しても、耐熱性に優れたパッドの材質、NISMO専用に金型から起こしたというキャリパーのピストン径も工夫することで(F:6P/R:4P・大中小のピストン径を持っています)耐久性も上げているとのことです。

●サーキットアタック時のストロークは…もうちょいレートアップしたほうがボク好み!

若干気になったのは、「ストロークを出すようなセッティングをした」ということで、良く言えばたくさんストロークさせて路面を追従…なのですが、サーキットを攻めるうえではちょっとダルすぎかな? ただ、普段乗りも考えてのセッティングであれば、まぁこんな感じなのかも。ボク個人的には、ストローク量が少なく感じられるようにスプリングレートを上げて…、そんなセッティングもいいんじゃないのかな?

GT-Rの走り
もう少しストロークを抑えた足まわりセッティングのほうが好みかな。

●ミッションの入力レスポンスもタイミングよく気持ちイイ!

アダプティブシフトコントロール(ASC)は、レーシングカー感覚でアップ/ダウンするんですよ。パドルシフトのレスポンスが物凄くいいんです。イラつく待ち時間が無く意のままに、って感じ。

ミッションに関してはあまりテコ入れをしていないそうですが、前仕様の17MYから1速→2速のつながる回転数を下げ、かつ半クラでつなげるようにしているとのこと。オートマなんだけど、減速したら最適なシフトにいけるよう回転数を適合させ、それまで3速に設定していたところを2速まで落とすなど、Rモード専用の制御ロジックを新たに開発したそうです。マニュアル好きなボクだけど、このASCならMTはいらないですね!

●IHI製タービン本体やパイピングには「田村チューン」が施された!?

タービン
タービンブレードの形状、枚数、肉厚減などの変更でレスポンスアップを狙ったIHI製GT3タービン。

今回のNISMOでのウリのひとつ、IHI製GT3タービンも扱いやすいバランスの良さに貢献していると思います。タービンブレードの形状変更や肉厚を薄くする、またブレードを1枚減らすなどにより、軽量化とレスポンスアップが可能となりターボラグのない気持ちいい加速につながっていきます。

また田村さんによると、今回初めてエキゾーストマニホールド(EXマニ)、パイピング等の分割化を行ったそうです。メーカーラインの場合、排気系パイピングは出来る限り一体化にしないと、排気漏れ、気温などによっても起こるパイプ抜けなどのトラブル、またコールドスタートでの排気ガス規制に合格か否か…と、メーカー側の責任を負うところが多く安易に手を付けられない箇所だったとか。

しかし、整備性や使い勝手の向上を力説し(たかどうかは「?」ですが!)、今回初めてソコラヘンの分割化が行えたのだそうです。それに伴うフランジ枚数増による増量化など負の部分も少なからずあったそうですが、そこは田村さんらしく(!?)チューニングカーばりの変更を行ったとのことです!

●外装にカーボンパーツを多用して軽量化&慣性モーメント減

このNISMOはボンネット、フロントフェンダーの他、ルーフも新開発された素材・加工されたカーボンを奢っています。とはいえ、その違いは歴代のGT-Rに乗っていないボクには分かりずらいトコロではあるんですが…。

ドライバーから遠い距離にあるものを軽量化して慣性モーメントを減らす…とのことですが、前輪・後輪の車軸、オーバーハングの軽力ができているのは大きいと思いますね。クリップ手前でステアリングを切っていくようなところでピッチングやアンダーが出なかったことを考えると、軽量化は物凄く効いていると思います。

カーボンフェンダーを持つ井出有治
ボンネット、バンパー、ルーフにもカーボン素材が使われています。新加工開発も大変だったそうです。軽〜い!

また、フェンダー部分にエアアウトレットが新設され、これによりダウンフォースや冷却効果を上げています。この「NISMO」を主張するルックスだけでも満足度アップじゃない?

●タイヤもシートもNISMO専用に新開発!

専用開発されたという、Sタイヤみたいなダンロップ SP SPORT(ランフラット)は剛性感もグリップ感もあり、変にタイヤがバタっと倒れ込む感じはなくキチッとたわんでいく感覚がドライバーに伝わってくるので、追従するサスペンションセッティングとタイヤの固さはマッチしてると思います。サーキットを攻めていくと、35扁平だとタイヤが負けてゴリゴリいいやすいんですけどね。

GT-Rのタイヤ
ダンロップ製SP SPORT(ランフラット)も専用設計。サイズはF:255/40ZF20/R:285/35ZF20(右は50thアニバーサリー用)

また、レカロシートもNISMO専用に新開発。背中部分のフレーム追加や頭部のコア材部分を拡大することで剛性を20%アップ。これはコースインしてすぐに分かりました。上に行けばいくほどたわんでくるシートですが、剛性アップされているために加速時やGがかるときに肩とステアリングとの距離が変わらないので、運転に集中できるんです。

イマドキのスポーツカーのシートで軽量化やサポート力アップは当然のことで、それ以上に「たわまない、捻じれ方向にも強い」ということが大事なんです。そういうところに目を付けてくれたのは嬉しいことです!

井出有治の走り
シートの剛性が上がっているおかげで、たわみが無くドライビングポジションがキープできるため、運転に集中できます。

■『湾岸』と漢字で書いてはいけない「ワンガンブルー」50thアニバーサリー仕様にも乗ってみた

●これでも十分なのにNISMOとのブレーキの差が気になって…!

「刺激が強すぎるので『湾岸』って漢字で書いちゃダメですよ!」と田村さんが言う「WANGAN(ワンガン)ブルー」の50thアニバーサリーモデルをストリート試乗してみました。ボクの第一声…NISMOの前に乗ればよかった(汗)!

それに、試乗方法がサーキット全開とプチワインディング(交通量多め)だったので、NISMOとの違いは分かるわけがない(笑)!

GT-R50thアニバーサリー
サーキット近くのプチワインディングでストリート試乗をした50thアニバーサリー・バージョン。

ウ〜ン、ステアリングの軽さがちょっと気になりました。ステアリングに伝わってくる「重さ」みたいなものがもうちょっとあると、高級感が出るんですけどね。ドイツ車のような、ステアリングから伝わるタイヤのグリップ感を手で感じながらステアリングを切る…その感覚って、ストリートメインとするベースモデルのGT-R(50th含む)ならなおさら欲しい感覚かな。逆に長距離は疲れ無さそうだけど。

50thをドライブする井出有治
ステアリングにはタイヤからのインフォメーションが伝わるよう、重さを感じるくらいのほうが好みです。

しかし、やっぱり一番の違いはブレーキですね。50thもブレンボ製のドリルドローター+キャリパーなので、ストッピングパワーは十分…なのですが、NISMOの優れたカーボン製を味わっちゃった後なので…。ベースグレードでも1000万円オーバーなのだから、GT-Rには全車カーボンブレーキを付けるべきだと思っちゃいました!

50thのブレーキ
でっかいブレンボ製なのでこれでも十分なブレーキですが、やはりNISMOのカーボンには適いません。

●メーターに懐かしさを感じる…?

50thもNISMOもですけど、いまやどこのメーカーも液晶メーターなのに、GT-Rはアナログ的。液晶表示のアナログデザインだと今感が出てカッコイイと思うんですよね〜。第2世代のBNR34とあまり違いが感じられない?

50thのメーター
ちょ〜っと古さを感じるアナログメーター。液晶化希望〜!

タコメーターの中の走行距離やスピードのデジタル表示の解像度が粗いのか、カクカクしてて、なんかそんなところにも古さを感じちゃうかな。

●いや〜楽しい! NISMOバージョンは凄すぎ!!

600psものパワーがあるクルマを走らせる機会はなかなかないので、楽しんじゃいました! それにNISMO仕様といってもカタログモデルとしてメーカーが出しているクルマじゃないですか。ヨーロッパでもなかなかないですよね。

GT-R NISMO井出有治試乗
ブレーキを踏むのが楽しいクルマって、そうそうないですよね。とにかくブレーキ性能は素晴らしいの一言です!

2400万円オーバーだからなかなか手は出ないけど、ヨーロッパのスーパーカーなんかその2倍3倍以上するのがゾロゾロいる中、GT-R NISMOはコストパフォーマンスでいえば超お買い得だと思います。今後はいろいろな規制により、こんなハイパワーV6ツインターボのエンジン車なんか販売できない世の中になりますから、これがR35最後のGT-Rになる?…のかもしれません。

GT-R諸元表
NISMOと50th比較諸元表

(試乗:井出 有治/文:永光 やすの/画像:ダン・アオキ・永光 やすの/動画:ウナ丼)


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