ダニエル・キイスの傑作小説「五番目のサリー」が2021年10月に舞台化。
脚本・演出は数々の名作を手がける荻田浩一が担当し、五重人格のヒロイン、
サリー・ポーター役には彩吹真央が主演します。共演には、仙名彩世・小野妃香里・
藤田奈那 中河内雅貴・大山真志・荒井敦史・井澤勇貴・小寺利光、そして駒田一が名を連ねます。
今回、作品のメインビジュアルを公開されました。

彩吹真央が演じるサリー・ポーターの中に存在する四つの別人格を仙名彩世、藤田奈那、
中河内雅貴、小寺利光ぞれぞれが象徴的に演じることで、複雑な五重人格を表現します。
また、分裂した人格を統合して「本当の自分」になろうとするサリーの心に迫る医師や
サリーの現在を支える人物、そして過去に影響を与えるきっかけとなった人物たちを、
小野妃香里、大山真志、荒井敦史、井澤勇貴、駒田一が演じます。サリーを主軸に、
四つの別人格、そして、現在と過去の出来事が交錯する本作。
舞台経験豊富な実力派キャストが揃い、“五重人格”のサリーの心に迫ります。

2021年10月20日(水)東京都千代田区の読売大手町ホールにて、
初日の公演に先駆け、公開ゲネプロと囲み取材が行われました。

【あらすじ】

サリー・ポーターは、ニューヨークで働く平凡なウエイトレス。だが、人知れず重大な悩みを抱えている。
たびたび陥る記憶喪失が、それだ。
幼少時から繰り返されてきた空白の時間がサリーを苦しめている。
仕事は長続きせず、結婚生活も破綻・・・、
今は10歳になる双子の子供を手放して、彼女は孤独に生きている。
精神科医のロジャーの治療を受け、彼女は驚くべき事実を知る。
サリーの心の中には、他に四つの人格が存在していたのだ−。
サリーは困難な状況に遭遇すると、四つの人格のどれかと入れ替わってしまう。
そして、別の人格が身体を支配している間、サリー自身の意識はなく、当然記憶もまた無い。
ロジャーの指導のもと、サリーは分裂した人格を統合して「本当の自分」になろうとする。

彩吹さん演じるサリー・ポーターは自身の中にデリー・ノラ・ベラ・ジンクスという
4つの人格を内包する五重人格者という極めて特殊な人物。サリーに極度のストレスや
衝撃が加わると激しい頭痛と共に、4つの人格のどれかが現れます。
楽天家なデリー、自分で絵も描く自殺願望のあるインテリ・アーティストのノラ、
歌とダンスが大好きで女優を夢見るベラ、そして憎悪に塗れた最も危険な人格のジンクス。
全く異なる4つの人格を彩吹さんが演じる様子は、豹変という言葉では全く収まらない
表情と演技幅の広さに思わず観覧者は目を疑うことでしょう。
そしてその4つの人格を代表する形で、藤田さん、小寺さん、仙名さん、中河内さんが
動きと表情を彩吹さんとシンクロさせ、各人格の個性を最大限に引き出しています。

物語の中で大きくクローズアップされるのが、荒井敦史さん演じるロジャー医師が
催眠療法にてサリーに各人格を一つ一つ統合していく際、それぞれの人格が
「サリーに統合された後、自分はどうなる?」と、ロジャーに問いかけていく場面。
このシーンのやり取りの深みは是非、劇場で自身の目で確かめてみて下さい。

【囲み取材の様子】

公開ゲネプロ終了後、劇場ロビーにて、サリー役の彩吹真央さん、ベラ、他役の仙名彩世さん、
ジンクス、マーフィ、他役の中河内雅貴さん、Inter Self Helper役の駒田一さんの
4名が登壇しての囲み取材が行われました。

Q:初日を翌日に控えた今の心境は?

彩吹さん「ダニエル・キースの代表作の一つでもある、五番目のサリー。個人的は
多重人格の役をさせて頂く機会は中々無い物なので、とても役者冥利に尽きる役に
出会わせて頂けたなと感謝すると共に、とても膨大な作品を2時間に収めているので、
とても内容が濃い作品なんですね。それを凄く丁寧に(演出の)荻田さんが
稽古をつけて下さったので、今も、今日の通し稽古のダメ出しを受けてから来たんですけども、
「安心してやって」と言って下さったので、本当にお稽古を皆で一緒にやった事を
自身に繋げて明日以降、お客様の前で出来る事が、緊張はありますけど、楽しみの方が多いですね。」

駒田さん「兎に角、久しぶりに凄くチームワークの良い素敵な現場だなと思って。
荻田さんが凄く良い稽古場の作り方をしてくれて、それに僕達は上手く乗っていけたし。
と、言いながら僕等の出していくアプローチも凄く認めてくれて、特に彩吹さんをはじめ、
10人のキャストが面白いというか、凄く重くてグッとくるんだけど、休憩時間になると
ホワンとなるという、居心地の良かった稽古場でした。だからその色が非常に出るんじゃないかなと
思う作品です。何か重い重いとはいいますけど、それぞれが皆さんにも色んな人格があると思うんですよね。
それを共感出来る部分がいっぱいある様な気がして、楽しめる作品になっていると思います。」

仙名さん「稽古場から凄く濃密な時間でしたし、何度も通し稽古を稽古場でさせて頂けたので、
それが実になっていると思いますし、初日が開ける怖さというよりも楽しみで、
どうお客様が観て下さるのかなと凄く楽しみですし、本当に素敵なカンパニーだなと思って、
これからの10日間を皆さんと一緒に日々作り上げていきたいなと思っています。」

中河内さん「最高でしたね。稽古場で最初の本読みから荻田さんがじっくりと丁寧にやって下さったので、
こういう風に作っていきたいのかな…という指針みたいなのを、こちらとしても想像力が膨らむ様な
作りをして下さって、尚且つ、立稽古に入って荻田さんのプランというのと、自分達がこうしてみたい、
みたいなプラニングが良い意味で化学反応が起きているような稽古場だったので、しかも、やる時はやる、
ダレる事無く集中力をパッと使って「じゃあ今日はおしまいにしましょう」と、メリハリの有る
素晴らしい稽古場だったなと。僕としては一番理想としていた稽古場だったので、
自信を持って舞台の上に立ってお客様にこの五番目のサリーをお届け出来るんじゃないかなと思っていますし、
ここのメンバーだけじゃなく、他のメンバーも本当にチームワークが素晴らしい座組なので、
そういった意味では、ゆみこさんに引っ張っていってもらいつつ、僕等もちゃんとがっしりと手を組んで
一緒に背中を押しながら共に千秋楽まで誰一人欠ける事無く、全公演をやりたいなと思っています。」

Q:俳優であれば役毎に性格を入れ替えたりするが、一つの舞台で複数人格を自分の中に入れていく難しさは?
また、演じる中で自身が受け入れる人格はあるのか?

彩吹さん「瞬時に違う別人格になる瞬間に、どれだけリセットを通して別人格になるか、
それがその役同士の関係性によって速度も違うし、後はその瞬間に声色を変えるとか、
感情を変えるとかその辺は自分の中にある程度、計算とか出来上がった指標というか、
自分の中での正解を体に染み込ませないと中々出来ないんだなというのをこの役を通して感じましたね。
自分自身がどちらかというと、おっとり系なので、早口で喋るとか怒りをぶつけるとか、
そういう別人格の役のシーンは凄く苦労しました。やっぱり凄みに欠けるというか。
宝塚に16年いたので、例えば中河内君とジンクスの役を共有する時、ジンクスだから怖くなきゃと
宝塚時代の凄みを出したら、荻田さんに「ちょっと男役過ぎるので止めて下さい」と言われたり、
色んな今までの経験を総動員させてやった事が凄く大変でもあったんですけど、
本当に中々出来る経験ではないので、何か快感に近い物に近づいてきていますね。
まだちょっとこれで大丈夫なのだろうか…みたいな所はあったんです。でも今日、
舞台稽古をご覧頂いて、勿論調整をしていきたい所はありますけど、ちょっと多重人格を演じる事への
快感みたいなものが芽生え始めたので、明日からもっとそれを前回にしたいなと思います。」

(自身が受け入れる人格は)「ありますね。サリー自身の自信のなさの部分もあれば、
別人格の凄くプライドの高い部分、怒りの部分、悲しみの部分、そして楽観的な部分。
全部自分の中には在るなって思うんですけど、やはり歳を重ねるにつれ、それこそ統合をされて
あまりはみ出さない様になっているんだなという事を感じたというか、私自身が
もっと自由で良いんだなという事を思ったりもしました。でも、演じている4人の人格の
言いたい事だったり、苦しみや悲しみは全部把握出来るというか、感じる事は出来ました。」

Q:別人格が入ってくる際の(他俳優との)台詞のリンク等を合わせる難しさは?

彩吹さん「それは多分、未だにズレとかあると思うんですけど、荻田さんがそこまで本当に
キッチリ2人が揃わなくても良いって最初に仰って下さった様に人間が発する熱量と声と
色んな個性が違うので、それが2つの個性がちゃんと出て良いという事だったので、
でも、恐らく皆さんが私に合わせて下さっているのが申し訳ないなって思うんですけど…。
本当に素晴らしい皆さんです。」

中河内さん「ちなみにこの衣裳、世界に一着だけだそうです。この舞台だけにデザインされ、
荻田さんの頭の中をデザイナーさんがこういう感じ、とデザインして下さって。
荻田さんは模様通り、いつもこんな感じです。」

彩吹さん「昔、一さんがこういう役をされていたなというのを思い出しました。
私は今回5役ですけども、一さんはその時20役以上されていたので、5役どころではないですね。」

駒田さん「俺、前の芝居の時もここでやってたんだよね。ずっとよみうり大手ホールって読んでた。」

Q:自分の中で出来てきて欲しくない別人格は?

仙名さん「小さい頃から物凄く緊張をする子で、本番を絶対に失敗する子だったんですね。
段々と歳を重ねる毎にそれが仕舞われていったのかは分からないですけど、
何かそれは出てきて欲しくないなと。今回のお芝居を作っていく中で、母に電話した時に
私も昔そうだったよね、って話したら、子供だったから経験が少ないから緊張しちゃうのは
誰だって同じで仕方のない事だよって、私だけじゃないのかと思いました。
でも緊張で失敗するのは絶対に嫌です。出て来て欲しくないですね。」

駒田さん「喜怒哀楽マシンで本当に泣く時は泣くし、怒る時はジンクス位起りますけど、
年々、サリーに近づいて来たというか、記憶が無くなる瞬間が。昨日何やってたかな〜とか。
そういう都合の良い所が増えたという事で、まあそれも自分の性格だし、隠す必要もないし、
唯一隠さなくても良い職業だと僕は思うので、あまり我慢をする様にはしなくなっていますね。
というか、昔程出なくなりましたよね。色んな事が何か。ケセラセラ成る様になれば良いかみたいな。
で、ピークにいくと記憶を無くすという手段を覚えたので。」

彩吹さん「今作をやるにあたって、幼い時の写真を見たんですね。しょっちゅう拗ねているんです。
お菓子を買って欲しいけど、買ってもらえないからそのお菓子を持ってムスッて拗ねている写真が
いっぱい有って。四人兄弟の末っ子なので、凄く甘えた部分があってゴネたら買ってくれるんじゃないかと
思ってしまう所があって、大人になっても頑固な所がありますね。そういう意味では頑固にゴネる大人です。」

中河内さん「僕は昔は誰に対してもジンクスみたいな感じで、売られた喧嘩は絶対に買う奴だったんですけど、
結婚をしてから大分、人に殺意を覚えなくなりまして。昔は、仕事は戦場だと思って、誰でもかかってこいと
広島から長野へ出て、長野から東京へ、ぜってーに負けねぇと出て来たんですけど、
最近は人と比べるんじゃなくて、自分自身が如何あるべきかというのを凄く考える様になって、
何か優しい部分の人格が凄く出て来ているなと感じます。凄く幸せな現場だったですし、
役でも発散が出来るので、誰に対してもあたる事無く、幸せに平和にやらせてもらっています。」

彩吹さん「あと、今日初めてマスクを外してお稽古をしたんですね。その解放感たるや。」

駒田さん「下着を着け忘れたかの如く、ちょっと違和感があるんですよ。舞台稽古までずっとマスクをしていたので。」

彩吹さん「自分で芝居をする時に、マスクが無いってこんなに幸せなんだ、こんなに自由に表現出来るんだと思いましたね。
今は大事な事ではありますけども、何時かお稽古場からマスクが無しで出来る世の中になったら良いなと思います。」

Q:観客側も様々な人格を観る事でそこに自身を重ね合わせたり、思う事を開放できる舞台になりそうか?

彩吹さん「舞台を観ていてそういう感情を感じて頂けたなら、そう思って頂きたいですし、
このコロナ禍で自分を見つめなおす時間ってそれぞれあったかと思うんですけど、
今回こうして舞台を観て、私達のパフォーマンスを通して改めて御自身を
見つめ直して頂いても良いし、そうじゃなかったとしても人間って、複雑で良いんだな、
これで良いんだという優しい気持ちになって頂けたら嬉しいかなと思いますね。」

最後にファンへのメッセージを。

彩吹さん「明日から10日間、14回公演を本当に丁寧に丁寧に作り上げて来た五番目のサリーを
是非とも皆さんの目で見届て頂きたいですし、この世の中で人と交わる事、関わる事が
少し少なくなっている分、この舞台をご覧頂いて人間の温かさ、弱い部分、辛い部分だったり、
色んな側面を感じて頂いて、明日からも頑張ろうと思って頂けたら嬉しいです。是非是非、観にいらして下さい。」

彩吹真央が挑む五重人格者サリー・ポーター。是非、劇場で一挙手一投足を直に目にしてください。

【「五番目のサリー」公演概要】

公式サイトはこちら

<公演期間>
2021年10月21日(木)〜10月30日(土)

<会場>
よみうり大手町ホール

<公演時間>
約2時間20分(15分間の途中休憩を含む)

<料金>
9,800円
(全席指定・税込)
※未就学児童入場不可

<出演者>
サリー:彩吹真央

ベラ(※)/他:仙名彩世
看護師ダフィー/母ヴィヴィアン/他:小野妃香里
デリー(※)/他:藤田奈那

ジンクス(※)/マーフィー/他:中河内雅貴
上司エリオット/他:大山真志
ロジャー・アッシュ医師:荒井敦史
同僚トッド/他:井澤勇貴
前夫ラリー/ノラ(※)/他:小寺利光

Inter Self Helper:駒田一

※サリーのうちに潜む別人格

<STAFF>
原作:ダニエル・キイス著「五番目のサリー」(ハヤカワ文庫)
脚本・演出:荻田浩一
音楽:TAKA
美術:古口幹夫
照明:柏倉淳一
音響:柳浦康史
衣裳:木鋪ミヤコ、大屋博美
ヘアメイク:中原雅子
舞台監督:栗飯原和弘
グラフィックデザイン:保坂あけみ
撮影:平賀正明
宣伝:キョードーメディアス
票券:キョードー東京
制作:稲毛明子
協力:ACT JP エンターテイメント/オレンジ/カオス・パフォーマーズオフィス/キューブ/グランアーツ/
ジャンクション/ビクターミュージックアーツ/ブルー・ジュピター/ワタナベエンターテインメント
プロデューサー:栫ヒロ、柴田篤、高田陽平
主催・企画製作:M・G・H/ニッポン放送
企画コーディネート:早川書房