地元で採れたての旬の野菜を八寸盛りの御膳でいただく「葉山茶寮 六花」。端正な日本家屋の広縁で、青々とした庭の緑を眺めながらゆったりと味わえます。穏やかな海の景色が広がる葉山の散策を兼ねて訪れてはいかがでしょうか。

海辺の街にたたずむ端正な日本家屋

しっかりとした石垣の土台のある塀に囲まれた「葉山茶寮 六花」。昭和天皇に仕えた持医頭(じいのかみ)の別邸として昭和9年に建てられ、屋根のある立派な門構えに由緒ある奥ゆかしさが感じられます。庭には松をはじめとして木々が生い茂り、季節の花々が彩ります。

玄関には大きな暖簾がかかり、がっしりとした引き戸が見え隠れ。引き戸上部のガラスの部分には弓矢の形をした木の装飾がはめ込まれています。これは悪い運気から家を守るために玄関から入れないようにしているのだそう。細かい部分にも先人の知恵がほどこされています。

のんびりとくつろぐ庭の緑が映える広縁

玄関のつくりや建具など昭和初期に建てた当時のままの良さを活かして、少しだけリノベーションした店内は、庭の緑がよく見えるようにアンティークのテーブルが配置されています。引き戸のガラスは今では再現するのが難しいとされる細かいフェザー模様になっているほか、一部を緑色に配色するなどレトロでいて洒落た雰囲気が漂い、鍵の部分もネジで締めるスタイルです。

奥の部屋には幅約110㎝もある広々としたカウンターがあり、その向こうには床の間のある和室になっています。部屋を仕切る障子をそのまま活かした趣のある空間です。

葉山の四季を味わいつくす贅沢御膳

お昼時に提供される「六花御前昼はん」は八寸盛りと二段の蒸篭(せいろ)蒸し、食後に手づくりのお菓子が選べる華やかなセットです。
八寸盛りには葉山の旬の食材をふんだんに使った料理が品数多く盛り付けられ、蒸篭蒸しの1段は地元の彩り野菜、2段目は肉や魚の蒸し料理。取材時に湘南豚と長芋の自家製醤油麹蒸し選択したところ、和風な味付けがごはんによく合う一品でした。

ガラスの急須に入っているのは味噌汁のお出汁です。昆布と鰹でとった一番だしをお椀に入った麦味噌と鰹節にかけていただきます。香りのいいお出汁の風味が全体をバランスよくまとめます。

食後はドリンクと手づくりのお菓子を選びます。岩塩でいただく「チョコレート羊羹」はカカオの風味がほんのり漂うオリジナル。居心地のいい縁側でのんびりと味わって。

まろやかな抹茶の秘密は茶釜のお湯

広々としたカウンターは炉が切られていて茶釜が掛かります。後ろの棚には茶筅や茶碗などお茶の道具が並び、さながらスタンディング式の茶室のよう。「六花御前昼はん」やティータイムの「菓子とお茶のセット」のお抹茶はこの茶釜から柄杓(ひしゃく)でお湯をすくって点て、まろやかな味わいです。

「菓子とお茶のセット」のお菓子は日替わりで、抹茶を使った水まんじゅうやシフォンケーキ、アイス最中、チョコレート羊羹などから2個選びます。和菓子はもちろん、洋のエッセンスを取り入れたお菓子はどのドリンクともよく合いますよ。

葉山への旅行プランはぜひこのお店の予約から

お店から歩いてすぐのところに黒松の林が広がる一色海岸があり、浜辺に出るとキラキラとした海の向こうに江の島や富士山を見渡せます。近くには葉山御用邸や葉山しおさい公園、神奈川県立近代美術館葉山などが点在し、海辺の散策の楽しいエリアです。ぜひ美味しいお昼ごはんを味わう旅のプランを立てて、葉山の旅を満喫してくださいね。