1970年前後に活躍したロックバンド、ブラッド・スウェット&ティアーズ(BS&T)がなぜ失墜したのか真相に迫るドキュメンタリー映画『ブラッド・スウェット&ティアーズに何が起こったのか?』が9月27日より日本公開されることが決定。予告編とメインビジュアルが解禁された。

 ブラッド・スウェット&ティアーズ(BS&T)は、1967年、ブルース・プロジェクトを脱退したアル・クーパー(Vo/Key)がボビー・コロンビー(Dr)、スティーヴ・カッツ(G)と結成。ホーンセクションを従えるロックバンドという斬新なサウンドは、その後のシカゴ、チェイス、タワー・オブ・パワーなどのホーン入りバンドが一世を風靡する先駆けとなった。

 1968年のデビュー作「子供は人類の父である」は全米TOP50ヒットとなるが、直後アルは脱退。新ヴォーカルのデヴィッド・クレイトン・トーマス加入後のセカンドアルバム「血と汗と涙」は7週連続全米1位を記録、第12回グラミー賞を受賞、収録曲の「スピニング・ホイール」「アンド・ホエン・アイ・ダイ」「ユーヴ・メイド・ミー・ソー・ヴェリー・ハッピー」もシングルチャートを席巻した。そんな絶頂期の中、メンバーは本作の舞台となる東欧ツアーへと旅立ってゆく。

 本作は、ロック史上最大の謎のひとつとされる、BS&Tがなぜ失墜したのか真相に迫るドキュメンタリー映画。国家的キャンセルカルチャーに巻き込まれた悲劇のロックバンドBS&T。冷戦下の東欧ツアーと半世紀以上を経て発掘された未発表映像が、アメリカVS共産主義の不都合な歴史をあぶり出す。

 監督は、『ジョン・コルトレーン:チェイシング・トレーン』(2016)、『PEACE BED アメリカVSジョン・レノン』(2006)等の音楽ドキュメンタリーで日本でも高い評価を得ているジョン・シャインフェルド。2024年の全米脚本家組合賞を受賞した本作について、シャインフェルド監督は「音楽愛好家やBS&Tファンのためだけのものでもない。政治スリラーであり、そして驚くほど力強い共鳴と、今日世界で起こっていることとの類似性を持っている」と語っている。

 本作には、50年以上の時を経て初公開となった鉄のカーテンの向こう側で撮影された門外不出のフィルム、BS&Tメンバーや当時の関係者から提供された数多くの写真と証言、禁じられていたロックに呼応する聴衆の姿が印象深い圧巻の未発表ライブ映像、ニクソンとヘンリー・キッシンジャー国務長官の間で交わされたアメリカ政府文書、ルーマニアの秘密警察からのファイルなど、これまで明らかになっていなかった数多の機密データが収められ、ロック史のみならず現代の世界情勢にもつながる分断の歴史を明らかに。

 彼らが鉄のカーテン内で目撃してしまったもの、それ故に帰国した彼らを待ち受けていた事は? BS&Tファンならずとも1970年前後の黄金期のロックファンは必見の、壮大な音楽サスペンス・ドキュメンタリーがついに日本に上陸する。

 予告編は、当時の記録映像と共に、「音楽を聴かせたかっただけなのに、巨大な政治の渦に巻き込まれた」「ツアーの真の理由は言えなかった。脅迫されたんだ」「サインを求めた若者を警官が殴打した。あの光景は忘れられない」などと語るバンドメンバーの姿を収めている。さらに、ツアーに同行した撮影クルーが「コンサート映画を作るつもりが、到着して全てが変わった。飛行機を降りると、マシンガンを持った護衛兵が待ち受けていた」と振り返るなど、衝撃的な証言の数々が収められ、最後は「この話には続きがある。想像を絶するよ」という意味深な言葉と共に、ピースサインが映し出されて幕を閉じる。

 メインビジュアルは、BS&Tのライブシーンが、アメリカとソ連の国旗に挟まれる形で配置されたもの。横には「全米No.1バンドはなぜ失墜したのか―?」というコピーが添えられている。

 映画『ブラッド・スウェット&ティアーズに何が起こったのか?』は、9月27日より恵比寿ガーデンシネマ、シネマート新宿、シネ・リーブル池袋ほか全国順次公開。