ペットたちにとっても過酷な日本の夏…どう過ごす?

 夏は、人間に限らずペットとして暮らす犬や猫にとっても体調不良に陥りやすい季節です。おうち時間の増加によりペットを迎える家庭が増えたいま、ペットにとっての最適な生活環境を改めて考える必要があるのではないでしょうか。

 そこで今回は、これから訪れる「夏」のお留守番についてのよくある疑問について、愛玩動物飼養管理士1級を保有するペットショップ勤務歴10年の筆者が解説します。毎年必ず訪れる夏を、愛犬・愛猫といっしょに快適に過ごすために、ぜひ参考にしてみてくださいね。

外出時のエアコン設定はどうしたら良い?


現代の日本の夏には、エアコンが必需品となりました。

 外出時には、エアコンのスイッチを切って出かける方も多いのではないでしょうか? しかしこの行動は、愛犬・愛猫が熱中症になる危険を高めてしまいます。

 日本気象協会のプロジェクト調査によると、熱中症になったタイミングとして「お散歩の時間」に次いで「室内で過ごしているとき」が2番目という結果に。エアコンをつけたまま出かけてあげることは、愛犬・愛猫が快適にお留守番するための重要なポイントであるといえます。

 設定温度は26〜28度を目安とし、部屋の大きさなどを考慮した上で調節して外出しましょう。暑さが厳しい時間帯のみタイマーで冷房のON・OFFを切り替えるよりも、エアコンをつけっぱなしの状態でキープしたほうが、効率的に快適な室温を保つことができます。

 また、カーテンを閉めて室内に入り込む太陽光を遮断することも、室温の上昇を抑えるコツです。エアコンの効きが良くなり、電気代節約にも効果的ですよ。

部屋の湿度も心配……。除湿のポイントは?


湿度が高いと、身体から熱を放出する力が弱まります。Photograph by Leighann Blackwood

 夏場の室内で快適に過ごすためには、湿度管理も重要なポイントです。環境省では、熱中症の危険度を判断する数値として暑さ指数(WBGT)を定めています。

WBGTの計算式

暑さ指数(WBGT)=気温の効果(1割):湿度の効果(7割):輻射熱の効果(2割)

 ちなみに輻射熱とは、日差しを浴びた際の熱や地面、建物などから出ている熱のことです。また、計算式を見ていただけるとおわかりになるかと思いますが、湿度と熱中症とのかかわりは実に7割を占めており、関係がいかに深いものなのかが分かります。

 部屋の湿度が65%以上になると、人だけでなく愛犬や愛猫も熱中症になるリスクが高まります。湿度は、45〜65%になるように、除湿器やエアコンの除湿(ドライ)機能を使って調節しましょう。

 ただし、エアコンの除湿機能を使う際に気をつけていただきたいポイントが1つ。エアコンによっては、除湿と同時に弱い冷房がONの状態となる場合があります。除湿機能には温度設定がないものが多く、そのまま稼働させ続けると必要以上に室温が低下してしまうことも。廊下につながるドアをあけておくなど、部屋の温度が低くなりすぎないようにするための工夫も大切です。

猫にとっては冷房の風が届かない部屋があるのも嬉しい!


犬も猫も、冷気の直撃は苦手です。

 エアコンの冷風は、直接当たると愛犬や愛猫にとっては冷えすぎの原因になります。サーキュレーターや扇風機を作動させ、涼しい空気を循環させるようにしましょう。

 特に猫は、もともと砂漠で生活していた動物のため、実は冷気があまりにも充満している部屋を好みません。涼しい部屋があるのに、あえてサンサンと日が照っている窓辺でくつろいでいることもあるくらいです。

 エアコンによって涼しさが保たれている場所と、エアコンの風が当たらずに自然の温度のままになっている場所をそれぞれ用意してあげると、愛猫も自分で居場所を選ぶことができるのでおすすめです。

 空気の循環や換気のために窓を開けておく場合は、脱走防止のための窓ストッパーの設置や、直接窓まで行けないようにするなどの工夫を忘れずに行いましょう。

脱水を防ぐには「体重に合わせた水分量」を意識して!


新鮮な水をたっぷり用意してあげましょう。

 暑い時期に、普段以上に水分が欲しくなるのは人間もペットも同じです。夏場のお留守番では、脱水予防として水分補給ができる場所を増やしてあげましょう。

 環境省のガイドラインによると、1日に必要な水分量は、フードから摂取する水分量も含めて犬は95ミリリットルほど、猫は70ミリリットルほど(いずれも体重1㎏あたり)です。例えば5キログラムの犬は約500ミリリットル、つまり500ミリリットルのペットボトル1本分の水分が必要ということですね。

 犬の「水を飲む」という行為には、喉の渇きを潤すほか、身体を冷やすといった効果もあります。犬は人に比べて汗を出す器官が少ないため、水を飲んでクールダウンするのです。

 猫は、そもそもの飲水量が少ない上にエアコンが効いた快適な部屋では喉も乾きにくくなるため、脱水症状に陥りやすいといえます。

 壁やサークルにつけられるタイプの給水器も数多く販売されています。愛犬・愛猫の体重や好みに合わせて、水分補給しやすい環境を整えてあげましょう。

外出中に停電してしまったら? 「ペットボトル保冷剤」を準備しておくと便利


万が一の備えは、愛犬・愛猫の命を守ることに繋がります。

 落雷などにより、夏は突然の停電が増える時期です。停電が起きても仕事などですぐに帰宅できない場合、家のエアコンや扇風機が止まってしまっているのでは? と思い、そわそわして何も手につかなくなってしまいますよね。

 そんなときは、自宅でお手軽に作れる「ペットボトル保冷剤」がおすすめです。夜のうちにペットボトルに8割ほどの水を入れ、水に対して3%の塩を投入して冷凍庫へポン。塩のおかげで氷の温度が下がり、非常に溶けにくい自家製保冷剤が翌日には完成していますよ。

 お留守番が始まる前にハウスやお気に入りの場所など、愛犬・愛猫が嫌がらない場所に置いてあげてくださいね。帰宅後、保冷材は冷凍庫に戻して凍らせましょう。すると翌日また同じように使用できます。2本作っておけば、帰宅が遅くなり冷凍庫に戻すのが遅くなっても、予備の1本で翌日も乗り切れるでしょう。

 置いておく際の水滴が気になる場合は、タオルなどを巻くと安心です。キャップやタオルの誤飲には注意が必要となりますが、簡単に作れる上に効果がしっかりとあります。保冷剤まわりの空気をひんやりさせる効果があるほか、あごをのせてくつろいだり抱きしめながら寝たりと、意外な使い方をしてくれるかもしれませんよ。

 また、市販品でも電気を使わずにひんやり感を持続させるジェルマットや、大理石のような素材で冷たさが持続するプレートがあります。愛犬・愛猫の好みに合わせてチョイスしてみてはいかがでしょうか。

エアコンとクール用品のダブル効果で快適度UP!


ペット用品の好みは個体差があるため、日頃から観察しておきましょう。

 お留守番のときは、クール用品だけでなくエアコンとの併用が安心です。局所的なクールダウンを得意とするクール用品と、部屋全体を涼しくするエアコン。それぞれのメリットを最大限活用し、愛犬・愛猫にとって快適な生活空間を作り上げましょう。

愛犬・愛猫の特性を知り、快適なお留守番を!

 犬や猫は汗をかく場所が足の肉球のみのため、体温調節が苦手な動物です。帰宅したときに元気にお出迎えしてもらうためにも、まずは快適にお留守番できる環境を整えてあげたいですね。お留守番を頑張った愛犬・愛猫には、最高のごほうびであるご主人の愛情をプレゼントしてあげてくださいね。

永山 花(ながやま・はな)

ペットショップスタッフ。愛玩動物飼養管理士1級。動物系専門学校卒業後、警察犬訓練所にて住み込みでの訓練修行を経験。その後、犬猫生体販売業に携わり今年で10年目。
幼少期から犬、ハムスター、モルモット、鳥など様々な動物に囲まれて過ごす。現在は夫・子供2人・猫2頭との生活を送りながら、ライターとしても活動中。

文=永山 花