日本海に面した青森県津軽地方は、白神山地や岩木山などの山々を抱え、広大な津軽平野を有する。夏は涼しく、冬は雪の多い地域である。
この地形と気候から生まれた独自の発酵食文化を、津軽の郷土食を継承するグループ「津軽あかつきの会」のみなさんに教わった。

三五八&ニシンの飯寿司

春にとれるニシンを麹で発酵

別名「春告魚」と呼ばれるニシンは、春になると産卵のため日本海沿岸に現れる。そのニシンを、軒先に吊るすなどしてカラカラに干して用いる。これから暖かくなっていく季節に完全に水分を抜くことで保存性を高め、生臭みを抜くためだ。干したほうがうま味が凝縮され、味も良くなるという。飯寿司には、ニシン以外にホッケやハタハタなどでも作られる。

三五八(さごはち)は東北地方では古くから利用されている便利な漬物の素。塩と米麹と米を、3:5:8の割合で混ぜることから、そう呼ばれる。2 月の一番寒い時期に作ることが多く、酒造りと同じく作業をする前に納豆を食べてはいけない。何年も持つそうで、津軽あかつきの会では、2、3 年経ったものが保存されていた。古くなるほど熟成が進み、味がこなれて甘みが増す。

材料

ニシン……1kg
にんじん……小さめを1、2本
しょうが……親指2本くらいの量
唐辛子……適量
三五八……200g

三五八の作り方

  1. 塩3:米麹5:米8の割合で材料を用意する。
  2. ご飯を炊く。
  3. 炊き上がったら熱いうちに塩をまぶす。
  4. 60℃以下になったら米麹を混ぜ合わせる
  5. 冷暗所に置き、3 ヶ月以上熟成させる。米麹とご飯が溶けてトロトロになり、甘みが出てきたらできあがり。

ニシンの飯寿司の作り方

  1. ニシンは3枚に卸し、塩水(分量外)に漬けた後、1ヶ月くらいかけてカラカラになるまで干す。
  2. 干したニシンを薄めの酢水(分量外)で戻す。もし塩分を見たければ一部を焼いて味見をし、塩分を調整する。
  3. にんじん、しょうがを千切りにする。
  4. 樽にニシン、三五八、3の野菜、唐辛子を何回かに分けて交互に敷き詰める。
  5. 中蓋をし、重石をして冷暗所に置く。空気を抜くことが重要で、重石は重ければ重いほど失敗が少ない。

※ 春に漬けて夏頃から食べられる。
※ 食べるときはちょっと炙ると、香ばしい風味が出て一層おいしくいただける。

三五八作りを省略した時短版の作り方

  1. 塩3:米麹5:もち米8の割合で材料を用意する。
  2. もち米を炊き、炊けたら塩をまぶす。
  3. 60℃以下になったら、米麹を混ぜ合わせる。
  4. 3を三五八と同様に使い、ニシンの飯寿司を作る。

※干したニシンを作れない場合は、身欠きニシンを使っても良い。

text 江澤香織 photo 船橋陽馬

本記事は雑誌料理王国2020年12月号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は2020年12月号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。