出展車輌台数906台は過去最大!平成最後の開催となった東京オートサロン2019

新しい年が明け、重い腰をあげて仕事始めを迎え、早くも最初の3連休に突入…。そんな週末に開催されるイベントといえば「東京オートサロン」。業界関係者にとっては、新年を迎えての賀詞交換会的な位置づけでもあり、クルマ好きにとっては新年1発目のマスト・プログラムとして。会期こそ3日間と短いものの、もはや東京モーターショーを凌ぐ熱気と盛り上がりが感じられる一大イベントです。
かつて、東京オートサロンはチューニングカー主体のイベントだった
筆者がはじめて東京オートサロンに足を運んだのは1992年、平成4年のことでした。当時の会場は晴海。東京駅から都バスに乗り、会場へと向かいます。いまでもはっきりと覚えているのは、会場が近づくにつれ、バスと並走するクルマがチューニングカーへと変わっていく光景です。発売されたばかりのアンフィニRX-7を見掛けたときは、一斉にバスの車内がざわつきました(笑)。それもそのはず。前年の12月に発売されたばかりの新型車だったからです。
1990年代前半の東京オートサロン主役は間違いなく「国産チューニングカー」でした。やはり、スカイラインGT-R(R32型)の存在が大きかったように思います。この時代に生まれたクルマ好きの方たちの多くから「R32GT-Rの現役時代を知っているなんて羨ましい」と本気でいわれます。いまか25年後の未来の若者たちから「A90型スープラのデビュー当時のことを知っていて羨ましい!」といわれるのでしょうか。
*1993年の東京オートサロンの画像を発掘いたしました。改めて振り返ってみても熱い時代でしたね…。
流れが変わってきたのは1990年代後半あたりから
毎年のように東京オートサロン会場に足を運んでいると、展示されているクルマの傾向が変化していることに嫌が応にも気づかされます。その傾向を感じ取ったのは、1990年代後半のVIPカーブームあたり。ヴェイルサイドがコンバットモデルを拡充させると同時に、トヨタ セルシオや日産プレジデント、インフィニティQ45あたりのカスタムが流行りはじめたのもこの時代です。
当時のオフィシャルガイドブックを読み返してみると、R33型スカイラインGT-Rがデビューした1995年の東京オートサロンと比較して、1997年になるとVIPカーやミニバン系の出展が増えつつあることが分かります。事実、1997年版には「ミニバン系がドレスアップの主流となるか?」という特集が組まれているほどです(コンテストにRV部門が新設されたのもこの年でした)。
気がつけばメーカーやインポーターまでもが出展する時代に…
時は流れて2019年。「東京オートサロン=幕張メッセ」という図式がすっかり定着し、気がつけば自動車メーカーや輸入車インポーターが相次いで出店。さらに2018年からは貴重なクルマやレーシングカーのオークション”BH AUCTION”が開催されるようになりました。
この”BH AUCTION”の会場の空気は独特です。撮影のため出品車輌が展示されているエリアに立ち入りましたが、おいそれとクルマに触れられる雰囲気ではありません(入札予定者の方であれば、運転席に乗り込んだりエンジンルームを覗き込んだりできるようです)。と同時に、少し前まで中古車店で見掛けたようなクルマたちが一気に遠い存在になってしまった感もあり、何とも複雑な気持ちになります。
外国人の来場者数が飛躍的に増えた
これは東京モーターショーにもいえることですが、東京オートサロンは輪を掛けて外国人メディアおよび来場者が増えたように思います。日本独自の文化を海外のクルマ好きが注目していることは確かなようです。
東京オートサロンをメインイベントに来日し、”DAIKOKU(大黒PA)”や”TATSUMI(辰巳PA)”や、東京都内、リニューアルオープンした”A PIT オ−トバックス東雲(旧スーパーオートバックス東雲)”をめぐる熱心な外国人のクルマ好きの方がいた模様。確かに、このあたりを押さえておくことで「いまの日本のクルマ文化の一端」が垣間見えそうです。
出展車輌台数906台!いまや1日でじっくり見るのは不可能なレベルに
オフィシャルサイトの情報によると、今回の東京オートサロンの出展者数は426社(前回実績442社/前回比96.4%)、出展車輌台数906台(前回実績880台/前回比103.0%)という規模に。3日間の来場者数は330,666人(前回比103.6%)となり、過去最多の動員を記録したそうです。つまり、1日ですべてのクルマやブースを観るのはかなり困難な規模になってきました。
取材していても、ただ漫然とまわっているとあっという間に時間が過ぎていきます。今後、この規模が継続またはさらに拡大すると仮定して、可能な限り1台でも多くの出展車両を見たい場合は思い切って2日間に分けてみるのもありかもしれません。会場に行ったことがある方であれば想像できるかと思いますが、じっくり見るのは困難です。来年がオートサロンデビューという方は、ぜひそのあたりを踏まえてみてください。
東京オートサロン名物?コンパニオンを撮るのは至難のワザ
個人的には、東京オートサロン会場の混雑の要因のひとつではないかと思っています。筆者が東京オートサロンに行くようになった1990年代前半、人だかりができているなと思って近寄ってみると、その先には某有名チューナーの方や現役レーシングドライバーがいたものですが…。
東京オートサロンが多様化しはじめた(個人的には1990年代半ばくらい?)あたりから、コンパニオンの衣装が過激な方向へとシフトしていったような印象があります。それにつれて、いわゆる「カメラ小僧」の方が増えはじめ、肝心の出品車輌が観られないという場面が増えていきました。これは、今回も例外ではありません。とにかく何とかすき間を見つけてコンパニオンを撮影します。ちょっと気になったのは、社会科見学で会場を訪れていた小学生たちにはコンパニオンの衣装はちょっと過激過ぎないか、さすがに心配になってしまいました(笑)。
電車は移動がオススメ
東京オートサロンといえば、湾岸習志野ICで3キロの渋滞に巻き込まれ、帰りも大渋滞になるのを百も承知で自慢の愛車に乗って行く方も多いはず。事実「実は駐車してあるクルマを眺めるのが一番面白い」という声もあるほど。これは筆者が東京オートサロンに行くようになったころと変わっていません(当時より多様化している分、さらに面白いかもしれません)。
自動車関連業の仕事に従事させていただいている身としては邪道なのかもしれませんが、筆者は電車移動です。かつてはクルマで行っていた時期もありましたが、時間が読める、うまくすれば座って移動できる(つまり寝られる)ことが大きな要因です。友人知人同士で行ったとしても、帰りに飲み屋さんで「反省会」が開けます。アラフォー世代以上の方、ぜひご検討ください。
休憩ポイントはここ
一般公開日には12万人を超える人が幕張メッセに集まります。とにかく、腰を下ろして休憩するスペースがありません。場所はあるんですが、人が多すぎて休憩スペースが圧倒的に足りないのです。そこでオススメなのが「イベントホール」です。入口をくぐり、左右にあるソファをうまく活用してみてください。他の場所よりはいくらか空いているはずです。
余談ですが、メディア関係者にはプレスルームが開放されます。優遇されていてるなー思われるかもしれません。しかしメディアルームも「イス取りゲーム」であることは何ら変わりありません。座る場所がないと、床に座ってあぐらをかき、その体勢で原稿書きを強いられます…。
BH AUCTIONはこの眼で見てみるべし!
オークションが行われるのは会期初日。この模様を観るには、特別招待券を手に入れるか、特別入場券を購入する必要があります。土日がお休みという方は、有給休暇を取得してでもBH AUCTIONを観てみる価値はあります(もちろん、各会場がそうであることはいうまでもありません)。
その理由として、これほど貴重なクルマが一堂に会する機会はめったになく、そのなかに興味がある出品車輌があるとしたら、その眼で確かめてみてもいいかもしれません。また「オレもいつか入札する側になってやる!」と、モチベーションアップの場としてもいいかもしれません。*余談ですが、本当に欲しいクルマがある場合、ことあるたびに「オレ、いつか●●●●●が欲しいんです!」と宣言しておくのも手です。どこかで誰かが覚えてくれていて、よほど対人関係に問題ある人でない限り「グッとくる話し」を持ちかけてくれます。
会場でCL CARSが気になったクルマを集めてみました
出展車輌台数906台のなかから、国内外の気になったクルマをご紹介いたします。個人的には、バブル期に雑誌でしか見たことがなかったケーニッヒ テスタロッサが3台も会場に展示(オークション含む)されていたことにかなり驚きました。新型ジムニーやクラウンのカスタムカーをあちこちで見掛けたように思います。現行アルファードのカスタマイズも人気でした。そして何より、新型スープラが間近で観られるとあって、常に人だかりができていました(あまりの混雑ぶりに近づくのを断念した人もいたようです)。
BH AUCTION出品車輌
主催者発表によると、出品車輌台数50台のうち、落札成立車両は計17台、落札不成立車両は計32台とのことです(ただし落札不成立車両のうち11台は商談中)。最終落札価格の合計は3億338万円。最高落札額は”Lot.32:1990年式フェラーリ F40″の1億2100万円。20年ほど前には3000万円台で売られていた時期もあったF40、ジリジリと、確実に値を上げてきていますね…。そんな緊迫感のある入札模様が観られるのも、東京オートサロンに加わった新たな魅力のひとつなのです。
東京オートサロンのもうひとつの主役・コンパニオン
なかには「掲載していいのかな?」と思うほど過激な衣装を纏ったコンパニオンも多く、かといってメディア側からするとアクセス数が稼げる「優良コンテンツ」でもあります。ある意味、メディアガイドラインが問われるところです。各自動車メデイアの姿勢が分かるポイントでもありますし、そんな視点で見てみると面白いかもしれません(コンパニオン特集のページを敢えて公開していないメディアもありました)。
モーターショーでは見られない世界がここには(確実に)存在する
毎年、来場者数が増え続けている東京オートサロン。時代の変化とともにモデルチェンジを繰り返し、いまや世界規模で注目されるイベントへと成長。しかも、日本発のクルマ文化を海外の人が注目している時代となったのです。一部の仁御社がプアマンズベンツ、プアマンズポルシェなどと揶揄された時代ではないのです。しかし、どこかアンダーグラウンドな世界というイメージがつきまとうのか「食わず嫌い」なクルマ好きの方がいることも事実。
東京モーターショーはメーカー主導で行われているため、どこか優等生的。まるでNHKのバラエティ番組を観ているようです。それだけに、毒っぽさ(刺激)が足らないかもしれません。その点、東京オートサロンは放送コードギリギリのところを狙っている、かつてのバラエティ番組のように「攻めている」感が年々強くなっている印象です。
雑誌やネット記事では味わえないライブ感、カスタマイズされたクルマのフォルム、コンパニオンを取り囲む撮影風景など、モーターショーでは見られない世界がここには(確実に)存在します。もし、二の足を踏んでいる方がいるとしたら…。また、遠方でついつい機会を逃しているという方…。新元号初となる来年の東京オートサロンは、ぜひ幕張メッセへ!
*東京オートサロン2020は、2020年1月10日(金)〜12日(日)の3日間、幕張メッセで開催されます。
[ライター・撮影/江上透]
関連ニュースをもっと見る
関連記事
おすすめ情報
CLの他の記事もみるトレンド アクセスランキング
-
1
新型ハイエース 300系なのか!? 今度はカスタマイズ画像も出てきたぞ!
MotorFan[モーターファン]2019年02月15日20時00分
-
2
【新車】新型デリカD:5の発売を開始。価格帯は3,842,640円〜4,216,320円で、旧型のガソリンエンジン仕様は継続販売
自動車ニュース clicccar.com(クリッカー)2019年02月16日18時03分
-
3
【新車】「ジープ・レネゲード」がマイナーチェンジ。洗練された外観デザインに一新し、高出力で高効率の新1.3Lエンジンを搭載
自動車ニュース clicccar.com(クリッカー)2019年02月16日17時03分
-
4
【週刊クルマのミライ】スバル・フォレスターを雪上試乗。e-BOXERの駆動制御に未来の可能性を見た
自動車ニュース clicccar.com(クリッカー)2019年02月16日11時04分
-
5
「私を1番にして」。妻の元へ帰ってしまった男を取り戻すため、略奪女が試みた"賭け"とは
東京カレンダー2019年02月16日05時04分
-
6
観光列車に本気出すJR北海道の“到達点”はどこか
ITmedia ビジネスオンライン2019年02月15日07時30分
-
7
出川哲朗「充電させてもらえませんか?」の電動バイクを真面目にインプレしてみた。/ヤマハ・E-Vino(Eビーノ)」
MotorFan[モーターファン]2019年02月16日07時30分
-
8
トヨタ直列6気筒の名機、1G系エンジン乗り比べ!
MotorFan[モーターファン]2019年02月15日21時10分
-
9
「大とろ牛乳」ってなに!?群馬発の新感覚スイーツが食べられるのは都内でここだけって知ってた?
レッツエンジョイ東京2019年02月16日09時00分
-
10
【マクラーレン570Sスパイダー】最高速328km/hの超速マシンでも扱いは想像以上に簡単
自動車ニュース clicccar.com(クリッカー)2019年02月16日11時14分
トレンド 新着ニュース
-
冬から春のゆらぎ肌に!「肌の基礎体力」アップアイテム5選
Life & Aging Report2019年02月16日20時30分
-
幌加内町のダイヤモンドダストは、まるで「天使の囁(ささや)き」!
tenki.jp2019年02月16日20時30分
-
ジメジメした地下室を、子どもの遊び場にリフォームしてみた話
ライフハッカー[日本版]2019年02月16日20時07分
-
電話を発明したのはエジソン? ベル? それともメウッチ? 眠れないほど面白い地球の雑学(120)【連載】
レタスクラブニュース2019年02月16日20時00分
-
まるで日本庭園!竹林に囲まれた混浴露天 全身で堪能する「和の幻想美」【熊本・いこい旅館】
Jタウンネット2019年02月16日20時00分
-
AIによる自動文章作成ツールがあまりにも高精度のテキストを簡単に作り出してしまうため開発陣から「危険過ぎる」と問題視される
GIGAZINE2019年02月16日20時00分
-
外出先で簡単お直し!「手を汚さないプチプラコスメ」2選
Life & Aging Report2019年02月16日19時30分
-
GoPro HERO7がスマホより旅の思い出の記録に適している三つの理由
BCN+R2019年02月16日19時30分
-
ZARAの990円フレグランス、知ってる? ロールオンで便利、しかも可愛い!
東京バーゲンマニア2019年02月16日19時00分
-
Epic Gamesストアにオフラインモード登場!ネットに接続していないときでも機能が利用可能に
Game*Spark2019年02月16日19時00分
総合 アクセスランキング
-
1
田畑智子、岡田義徳との“破局”の真相は「いったん離れて、もう1回つきあおう」 6年半の交際と結婚を語る
スポーツ報知 2019年02月16日 15時25分
-
2
木村拓哉、鋭い観察眼で長澤まさみのドッキリ“お蔵入り”「カメラに気づいたり…」
ORICON NEWS 2019年02月16日 16時35分
-
3
中居正広、ピリつく警官を笑顔にするさすがの「仕切り力」
NEWSポストセブン 2019年02月16日 07時00分
-
4
「今でしょ」ブレイクから6年 林修先生はなぜ“消えない”のか
文春オンライン 2019年02月16日 17時00分
-
5
海老蔵「母の大事さ」痛感 子供を「父親だけでは支えられないこともある」
デイリースポーツ 2019年02月16日 12時44分
-
6
10年後「死亡率」が最も低い睡眠時間は何時間か 日本人が知らない睡眠負債の恐怖
東洋経済オンライン 2019年02月16日 05時40分
-
7
平成改元、見送りの20案 九州大名誉教授の肉筆メモ発見
共同通信 2019年02月16日 19時03分
-
8
消防署員が自殺、パワハラ示唆する遺書見つかる 山口
朝日新聞 2019年02月16日 12時14分
-
9
NHK制作トップもついにテコ入れ宣言…大河ドラマ「いだてん」序盤で1ケタ視聴率の衝撃
スポーツ報知 2019年02月16日 11時00分
-
10
平尾昌晃さん60億円遺産相続問題、三男の訴え却下
日刊スポーツ 2019年02月16日 02時00分
東京 新着ニュース
東京 コラム・街ネタ
-
大丸東京店に100以上の猫グッズが集合!保護猫のパネルも展示中ニャ
Cat Press 2019年02月16日 20時47分
-
南キャン・山里亮太、プロレスの試合中にアイドルとのキス写真流出もネットでは「自業自得」の声
バトル・ニュース 2019年02月16日 20時13分
-
クロちゃん、リングでアイドルと乱闘!警官(?)も出動して大パニック
バトル・ニュース 2019年02月16日 20時10分
-
南キャン・山里亮太、国技館のリングで失神!猪木舌出し以来の大失態!
バトル・ニュース 2019年02月16日 20時05分
-
「おまえの正義を出せ」 石橋凌、松田優作との出会いを語る
TOKYO MX+ 2019年02月16日 17時50分
特集
特集一覧を見る記事検索
掲載情報の著作権は提供元企業等に帰属します。
(C) 2019 CL