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著者 :高岡 ケン



ヨーロッパ随一の自動車大国で知られるドイツでは、フォルクスワーゲン ゴルフが圧倒的人気を誇っている。

2022年度の新車販売台数はフォルクスワーゲンが480,967台、国内シェア18.1%と、2位のメルセデス・ベンツに対して約2倍の差をつけてドイツ国内首位となった。

その内訳だが、VWゴルフの新規登録台数は84,282台となっている。つまり、およそ6台のうち1台がゴルフという計算になる

さらにゴルフは中古車市場でもダントツの人気を誇っており、約65,000台も販売されたそうだ。

今回はドイツ国内で圧倒的シェアを誇っているフォルクスワーゲン ゴルフがなぜここまで人気なのか?

ドイツ現地にて調査を行ってみた。

■歴代ゴルフでもっとも人気があるモデルは?

VWゴルフはコンパクトクラスに位置付けされ、1974年から販売されている。

現在8代目となるゴルフだが、累計販売台数は3500万台を超え、世界でもっとも生産されたクルマの1つである。

歴代ゴルフの中でもっとも販売台数が多かったモデルは「ゴルフ1」と言われる初代ゴルフである。

ゴルフ1は大ヒットを記録し、累計で約700万台が販売された。

1974年から1983年にかけて9年間製造されたこのモデルは、開発当時、VWグループにとって大きな希望であった。

1960年代後半以降、大きな成功を収めていたビートルの需要が減少傾向にあり、同時にドルが下落したため、アメリカへの輸出は採算が取れなくなっていた。

そこでビートルの後継モデルとなるゴルフが開発され、これが記録的な大ヒットとなり、VWグループを販売危機から救ったとされている。

■ドイツ国内で販売されているゴルフのバリエーションとは?

まずは大きく分けて3つのモデルがあり、コンパクトサイズの3ドアまたは5ドア、ステーションワゴンタイプのゴルフ ヴァリアントである。

最新のゴルフは3ドアがなくなり、5ドアまたはヴァリアントのみとなっている。

標準モデルのLife、スポーツモデルのGTI、限定モデルのMOVEと3タイプが用意されている。

スポーツモデル以外はガソリン、ディーゼル、ハイブリッドの3つから選べ、加えてトランスミッションはオートマかマニュアルを選択することができる。

これだけ多種多様な組み合わせがあれば購入者の希望に沿ったゴルフを見つけるのも容易いことだろう。

■ドイツ国内でゴルフが人気の理由とは?

ゴルフが何年にも渡り選ばれ続けているのにはいくつかの理由がある。

1.ゴルフは初代から現在の8代目に至るまで全長が5mを超えたことはない。これはヨーロッパ特有の狭い街並みや都心部の限られた駐車スペースでも大きな利点となる。 2.値落ち率が低く、数年後に売却したとしてもドイツ国内では中古車市場においても非常に人気が高いため、他車種と比べても高い金額で買い取ってもらえる。 3.安全装備が充実しており、免許をとったばかりの若者や運転が苦手な女性などからも高い支持を得ている。 4.多くのモデル、パッケージが用意されており、多種多様な組み合わせが可能となっている。そのため、さまざまなニーズに合わせて購入することができる。 5.高いハンドリング性能を誇っており、運転がしやすく快適である。ドイツではアウトバーンなどの長距離運転をすることが多く、常に快適性が求められている。

これらの条件をすべて満たしたクルマが世の中にどれだけあるだろうか。

■新型ゴルフ9は2028年に登場するのか?

VWゴルフは1974年の発売以来、ドイツ国民に寄り添い常に多くの世代から必要とされ続けた。

そしてドイツの自動車業界を大きく変えたクルマと言っても過言ではないだろう。

2028年には新型ゴルフ9の発表が噂されているが、次期モデルも果たして大きな成功を収めるのか。

ID.シリーズの存在もあり、今後もドイツで圧倒的人気を誇示し続けるのか。

新型のゴルフにも注目していきたい。

 [撮影・ライター/高岡ケン]