「知将・上田利治24」待ち人来たる(後編)

 【気骨で生きる〜知将・上田利治24】(後編)

 生まれも育ちもベネズエラで、夢はアメリカン・ドリーム。南米の選手がだれもが憧れる米大リーグを目指し、3Aでその日を待ち続けていた男だった。そんなマルカーノを上田は視野に入れ、入団の目途をつけた後、外国人獲りの訪米を終えた。

 マルカーノ。愛称ボビー。1951年6月の生まれでその頃、22歳。その攻撃力と守備力の実際は見ていないが、信頼の置ける知人から「日本向き」の太鼓判は押されている。

 「欲しい」どころの話ではない。「あいつが来ないと」勝利の構想が狂う。だから上田はイライラした。

 来日してから聞いたら、ボビーは「この地球に日本という国があるのも知らなかったもん」とガハハと笑っていたが、日本とは地球の裏と表の南米である。

 多分、メジャーへの夢を捨てきれなかったのか。泣きの涙で来日したのは読めたが、来てみれば日本は、阪急は天国に思えた。「家族のために大きなマンションを買えた。『阪急ドリーム』だったよね」。

 後年、そう言っていたが、彼の人生は短い。39歳で他界している。

 なかなか来なかったマルカーノが開幕直前の3月末、やっと来日した。右翼手のバーニー・ウイリアムスはキャンプに間に合っている。「顔ぶれがそろったな」。上田は渡米をともにした矢形と強く握手を交わした。=敬称略=

※2016年5月〜同8月にデイリースポーツ紙面にて連載されたものです


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