「オウム幹部刺殺事件」私を押しのけた男が突進して…(後編)

 会社に連絡しようと近くの公衆電話に向かった。妙に冷静だった。救急車が呼ばれ、酸素マスクをつけられて搬送される村井を見たが、出血多量のためか肌が真っ白になっていて、助かりそうもないのが一目瞭然だった。翌日、村井は死去した。

 村井を撮影したつもりが、会社に帰って写真部にカメラを持って行くと、フィルムには何も写っていなかった。自分の一眼レフを修理に出しており、代わりに社有機のコンパクトカメラを持って行ったが、フィルムを巻き上げる装置が故障しており、同じコマに何度も撮影しているだけだったのだ。いまだに腹立たしい一方で、撮れていても生々しさ、むごたらしさゆえに、掲載できなかったのではないかとも思う。

 犯人は右翼団体所属を自称したが、肩書はその後、暴力団の準構成員になっていた。彼が出入りしていた山口組系暴力団の幹部が共犯として逮捕され、犯人は捜査段階と法廷で幹部の指示を供述した。幹部が所属する暴力団の組長(山口組史を振り返る上で、別件で必ず名前が出る有名人)は、幹部の一審判決が出る前に「組員がオウム真理教に関わった責任をとる」との理由で引退してしまった。

 犯人は懲役12年の有罪判決を受け、既に出所。幹部には無罪が言い渡された。背後関係は不明のままだ。

 数年後、さる人気ミュージシャンがドラッグで逮捕され、自宅マンションに向かったところ南青山総本部のすぐ近くだった。彼は近所で起こっていた狂騒や惨劇をどのように見ていたのだろうか。(終わり)



【1990年代】


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