在韓米軍の撤収が現実味…韓国が被る「致命的なダメージ」

在韓米軍の撤収が現実味…韓国が被る「致命的なダメージ」

韓国紙・朝鮮日報は21日、韓国政府が米国の要求する防衛費分担金の大幅増額に応じない場合、「トランプ政権は在韓米軍の一個旅団を撤収する方向で検討を行っていることが19日(現地時間)までに分かった」と伝えた。

衝撃的な情報である。米国は米韓防衛費分担金特別協定(SMA)に向けた交渉で従来の5倍に相当する50億ドル(約5400億円)の負担を韓国に求めているが、これに韓国は強く反発している。

米議会は、現在2万8500人規模の在韓米軍を2万2000人以下に削減することを禁じている。しかし、米軍の1個旅団は3000−4000人に相当し、削減しても米議会が定めたルールにも抵触しない。

実際のところ、仮に在韓米軍の1個旅団が削減されても、朝鮮半島の軍事バランスにただちに大きな変化は起きないかもしれない。北朝鮮の通常戦力は弱体化しており、核兵器を動員しなければ、致命的な脅威にはなり得ないからだ。もちろん、米軍1個旅団が抜けた軍事的空白を埋めるために、韓国軍は相当な苦労を強いられるはずだ。もしかしたら、何をやってもこの空白を埋められず、国防上の重大な弱点として残ってしまうこともあり得る。

だがそれよりも、米軍が「去っていく」ことによる韓国世論への心理的影響や、さらには北朝鮮がしかける心理戦のダメージが心配だ。

北朝鮮は折に触れて、韓国社会に対し心理戦をしかけてきた。たとえば朝鮮半島が第1次核危機の最中にあった1994年3月、板門店での南北協議で北側の朴英洙(パク・ヨンス)首席代表が、韓国側の宋栄大(ソン・ヨンデ)首席代表にこう言い放ったのは有名だ。

「ソウルはここからそれほど遠くはない。もし戦争が勃発すればソウルは火の海になるだろう。宋さん、あなたはまず生き残れないだろう」

もちろん、協議は決裂。この様子を収めたビデオは当時の金泳三(キム・ヨンサム)大統領の指示でテレビ放映され、北朝鮮の「危険さ」を全世界に認識させた。しかし、朴氏の「火の海」発言は、実は失言ではなく、巧妙な計算に基づくものだったと言われている。実際、戦争になればソウルは北朝鮮の長距離砲部隊によって甚大な破壊を被る。それを知っている韓国国民は、動揺せずにはおれないからだ。

それでも当時の韓国社会はまだ、こうした北朝鮮の「口撃」に反発する空気が強かった。しかし2010年頃を境に、北朝鮮との対決よりは情勢の安定を求める空気が強まり、その傾向が国内での選挙にも影響を与えるようになった。

在韓米軍の撤収が具体化すれば、北朝鮮の心理戦は勢いづくだろう。民主主義社会は、そのような心理的揺さぶりには意外と弱いものなのかもしれない。


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