韓国人の結婚観、離婚観にはこの十数年で大きな変化が生じた。

かつては「当然のこと」とされていた結婚だが、韓国統計庁の調査によると、「結婚はすべきだ」と答えた人が2010年には68.0%だったのが、2018年には48.1%まで減少した。コロナ禍の2020年には51.2%で多少回復はしたものの、概ね2人に1人は結婚しなくてもよいと考えていることには変わりない。

離婚に関しても、「できる限りすべきでない」「絶対にすべきでない」が2008年には58.6%だったのが、2020年には30.3%まで減少した。男性本位の風潮の下で「ダメな夫でも妻は三行半を突きつけず、ひたすら耐え忍ぶ」ものだとされていたかつての考えが、過去のものになりつつあることが示された。

軍事境界線の北側の北朝鮮では、離婚は社会悪とされ、協議離婚は制度そのものが存在せず、必ず裁判を経なければ離婚できない。配偶者に問題があっても、裁判官が離婚を許可しないケースが多く、ワイロが飛び交ったり、捨て子が急増したりするなど、様々な社会問題を生み出していた。

そのような状況に業を煮やした金正恩総書記は、離婚をさらに難しくする方針を示した。

デイリーNK内部情報筋によると、今年4月から離婚する場合、その原因を作った側に6ヶ月の労働鍛錬刑、つまり懲役刑が課されるようになった。

これは、金正恩総書記の名義で3月初めに、各道の朝鮮労働党委員会と司法機関に下された方針の影響があったものと思われる。金正恩氏は「離婚する者たちは社会に混乱を招き、社会主義生活様式に反する者たちと見なせ」と指摘し、その翌月から離婚者に対する処罰が適用されるようになった。金正恩氏も、「離婚は悪」とする北朝鮮当局の考えの影響を受けていることがうかがえる。

先月中旬、平壌市平川(ピョンチョン)区域の鳳池洞(ポンジドン)に住んでいた夫婦が、裁判所に離婚を裁判所に申し立てたところ、夫チェさん(40代)の責任が大きいとして、労働鍛錬刑6ヶ月の下され、平壌から追放されたとのことだ。

離婚の申し立てそのものを行えないように恐怖心を与えることが目的と思われる今回の判決だが、法的根拠はない。

北朝鮮の家族法21条は「配偶者が夫婦の愛と信頼をひどく裏切ったり、それ以外の事由で夫婦生活を続けられなくなったりした場合、離婚できる」と定めているが、これには不倫、性格の不一致、姑や親族との諍い、不妊などが事由として挙げられる。それでも離婚が認められないことが多かったが、今後はさらに難しくなるものと思われる。

離婚者を処罰するという横暴なやり方は、離婚が急増していることの裏返しだと思われる。情報筋は昨年から離婚が急増しているとして、次のように述べている。

「今は昔とは違う。経済的能力がなかったり性格が合わなかったりしたら離婚する人も多い。嫌いな人と一生を共に暮らせようか」

それを妨げようとする当局のやり方について情報筋は「厳然たる個人生活の侵害だ」と述べた。

金正恩氏は、離婚しづらくするだけではなく、深刻化する一方の少子化対策として、避妊や妊娠中絶を禁止したりと、強硬手段に出ているが、それに対して北朝鮮の若者は、離婚時のリスクを避けようとそもそも結婚を避けたり、子どもを持たないという選択をしたり、様々な手段でサボタージュを行っている。

また、別居するだけの「事実婚」ならぬ「事実離婚」をする者もいる。結局、国の経済、個人生活の安定がなされない限り、どんな強攻策を使っても、少子化、離婚の問題の解決にはつながらないだろう。