北朝鮮では、太陽節(金日成主席の生誕記念日)など国を挙げて祝う日などに、特別配給が実施されるものだった。その中身は、市場で売られているが、やや値の張る豚肉、洗面道具、酒、食用油などだった。

かつてはそれなりに喜ばれ、「贈り物」で国民の心のつなぎとめる北朝鮮らしい政策だったが、近年では配給をしてもしなくても、逆に不満を招くものとなっていた。

今月10日の朝鮮労働党創建日にも特別配給が行われたが、そのやり方を巡ってまた不満が湧き上がってしまったようだ。平安南道(ピョンアンナムド)のデイリーNK内部情報筋が伝えた。

地域の人民委員会(市役所)の糧政課は、国営の国家食糧販売所を通じて、特別配給を行った。ところが問題はその価格だった。コメは1キロ4000北朝鮮ウォン(約88円)、トウモロコシは1キロ2000北朝鮮ウォン(約44円)だったが、市場価格とさほど変わらず、国定価格(市場価格の10分の1)で得られると期待していた市民の間から不満の声が上がっているのだ。

「国が名節(特別な休日)配給でカネを稼ぎ出したのか」
「これならばいっそ市場で買った方がマシだ」(市民の声)

ちなみに今月4日の時点で、平壌の市場でのコメ価格は1キロ5000北朝鮮ウォン(約110円)、トウモロコシは配給価格と同じ2000北朝鮮ウォンだった。

今回配給が行われた国家食糧販売所だが、元々の計画では、市場での穀物販売を禁じてこの販売所一本化し、穀物価格を安定させるためのものだったが、半ば計画倒れとなっている。

今回の配給は、その活性化に利用されたとも考えられるが、入荷量が十分ではなく、予定量の半分しか受け取れなかった人がいたり、まったく受け取れなかった人もいたりと、人々の不満をさらに深めてしまった。

両江道(リャンガンド)や咸鏡道(ハムギョンド)の一部地域では、特別配給そのものがなかった地域もあったという。両江道の情報筋は、先月末に国家食糧販売所でコメとトウモロコシを販売したが、今月10日に合わせては何もなかったと証言した。

昨年の朝鮮労働党創建75周年の日にはお菓子セットや酒などが配給されたが、今年は何もなかったのだ。ただ、党の機関や外郭団体は特別扱いされたようで、今年の創建日に合わせて調味料と油が有償配給されたという。ただ、その量もそれぞれ80グラム、120グラムと雀の涙ほどだったとのことだ。