実刑判決を受け、教化所(刑務所)に護送中だった被告人2人が、看守に頭突きをくらわせて逃亡した事件。

脱北の可能性も視野に入れ、逮捕作戦が繰り広げられていたが、2人が逮捕されたと、咸鏡北道(ハムギョンブクト)のデイリーNK内部情報筋が伝えた。

当局は2人を逮捕するために手配令を下し、遠戚の家まで捜索していた。また、脱北の可能性を考え、国境に向かう列車に対する大々的な検索も行っていたところ、国境を流れる鴨緑江までわずか500メートルの地点にある、両江道(リャンガンド)恵山(ヘサン)市の渭淵(ウィヨン)駅でついに逮捕に至った。

陳述によると2人は、戒護員(看守)に頭突きをかまして咸鏡北道の吉州(キルチュ)駅で車窓から逃走。しばらく山の中に身を潜めていたが、やって来た恵山(ヘサン)行きの列車に飛び乗り、乗降口のステップに身を潜めていた。国境のそばまでたどり着いたものの、列車員と乗車安全員(鉄道警察)に発見され、渭淵駅前安全部(警察署)と両江道安全局(県警本部)の機動捜査隊に逮捕された。

両江道安全局は2人に暴行を振るわず、市内の食堂でクッパ、オンバン(クッパの一種)、トウモロコシ麺を腹いっぱい食べさせた上で、咸鏡北道安全局に身柄を引き渡した。一方の咸鏡北道安全局の係官4人は、2人に殴る蹴るの暴行を加え、血まみれになって気を失ってから、護送車両に引きろずって押し込んだとのことだ。

情報筋の説明では、今回の脱走で刑期が伸びることはないが、苦労させられた咸鏡北道安全局予審課は、2人を留置場に数カ月間入れて、拷問を加え、脱走できないほどの栄養失調状態に追い込んでから、改めて教化所に護送する予定とのことだ。

人権も何もあったものではない。

逮捕の知らせは一般住民にもすぐに広がったが、脱走を図り寒さと飢えに耐えたのに、結局逮捕されて拷問を受け続ければ命が危ないと心配の声が上がっている。

携帯電話の違法使用という、少し前までは大した罪に問われなかったことで、ひどい目に遭わされ、脱北目前でお縄になった運の悪さに、同情論が広がっているようだ。