国家主導の計画経済と配給制だけでは国の運営が成り立たなくなり、社会主義の体裁を失いつつある北朝鮮。なし崩し的に進行する市場経済化は、社会のあらゆるところに及んでいる。

夜の遊興文化もその例外でないことは、これまでもたびたび言及してきたが、韓国紙・東亜日報のチュ・ソンハ記者が最近、YouTubeチャンネルである具体的事例について語っている。

チュ氏が取り上げたのは、2017年夏に北朝鮮当局が摘発した平壌の「青春食堂」のケースだ。平壌駅の裏側、平川(ピョンチョン)区域にあるこの食堂は静かな裏通りに面していることから、当初は経営がふるわなかったという。

青春食堂が繁盛店となったのは、オーナーが交代してからだ。北朝鮮の食堂は名義上、行政機関や貿易会社の傘下に置かれている。しかし、それは表向きの話で、金持ちの個人がそれら機関の庇護を受けながら、自分のカネを投資して運営している店が多いという。

青春食堂の新オーナーは経営テコ入れのため、美貌の女性従業員を積極的に採用。それ以降、あれよあれよという間に客が集まり、夜更けまで客の途絶えない「不夜城」の様相を呈するようになったという。

だが、これを怪訝に思う人物がいた。近所にある栄光食堂というライバル店の経営者だ。青春食堂よりもずっと繁盛していたのに、常連をことごとく奪われてしまった。「いくら美女を揃えても、ああまで上手くいくものか」。経営者はそう思ったのかもしれない。

そして、その秘密を暴くべく何者かが青春食堂に潜入し、店内で行われていた性売買の証拠写真を激写。それにより、青春食堂の経営者は逮捕され、牢獄に送られたという。

ちなみにチュ氏の説明によれば、青春食堂の性売買の仕組みは次のようなものだった。

食堂には他の店と同様、カラオケ設備を整えた複数の個室がある。そこに入った客に対し、相場よりやたらと高い料理を注文させ、その利益はすべて店に入る。客に付いた女性はサービスに応じたチップを受け取り、それはすべて彼女のものになる――。

ハッキリ言って、どこの国にもある営みであり、北朝鮮だからと特別ではない。ただし近年、経済難で金銭的に追い込まれた女子大生らが、こうした商売に組織的に追い込まれる事例があったことについては、言及しておこうと思う。