深刻な食糧難に苦しめられている北朝鮮の人々。期待されていた麦の収穫が始まる頃だが、降水量が例年の半分(韓国気象庁の観測データ)にとどまり、作況は目も当てられない状況だ。

そんな中、北朝鮮当局はあるものを食べて、食糧難を乗り切ろうとキャンペーンを張っているが、国民から怒りの声が上がる結果を招いている。米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。

咸鏡北道(ハムギョンブクト)会寧(フェリョン)の情報筋は、経済難が続き、食糧の備蓄が底をつく絶糧世帯が増加している状況を受けて、中央はこんな呼びかけを行っている。

「野生植物資源を積極活用して、困難を乗り切ろう」

野生植物資源とは、山菜のことだ。国土の大部分を占める山林を効果的に利用するとして、山に生えている山菜をうまく利用すれば、食糧問題も解決し、健康にも良いと宣伝しているのだ。

例えば、19日付の朝鮮労働党機関紙・労働新聞は「野生食用植物とその利用」と題した記事で、ワラビ、ゼンマイ、オタカラコウ、ヤマゴボウなど、食べられる山菜や木の実などを紹介している。

だが、これらの記事は住民の反発を呼んでいる。いずれも旬が過ぎて、もはや食用には適さないのだ。また、以前から続いている食糧難で、山菜や木の実は取り尽くされており、今さら山に入っても、これらの植物にはお目にかかれないのが現状だ。

上層部がいかに庶民の暮らしをわかっていないかということの現れと受け止められているのだろう。

テレビで最近、クリやヤマナシ、サルナシなどの木の実を食べようという宣伝を繰り返していると伝えたのは、平安北道(ピョンアンブクト)定州(チョンジュ)の情報筋だ。

定州の名物といえば大ぶりのクリとのことだが、生活苦から燃料を買う余裕すらない人々は、山に入って、無断でクリの木を切り倒して薪にしてしまい、今ではほとんど見られなくなったという。

そんな現実を無視した「山菜、木の実を食べよう」キャンペーンに、定州市民からは反発の声が上がっている。

「そんな実情を知ろうともせずに、現実離れした野生植物資源の利用を推奨する中央の指示に庶民は呆れ、非難の声を高めている」(情報筋)